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マダツボミの観察日誌

古典からギャルゲーまで備忘録兼感想帳

心刀合一を以て限界を超える―千の刃濤、桃花染の皇姫感想

ゲーム

 発売日翌日には手に入れられなかったものの翌週の土曜には入荷したようで、無事オーガスト新作千の刃濤、桃花染の皇姫を購入することができ、ひとまず終わりましたので感想を書きたいと思います。エロゲはがある生き物なので、旬が終わらないうちにやることがてよかったです(前回平気で3年前のゲームをやっていた人間の台詞ではない)

*この感想には激しくネタバレが含まれています、ご注意ください。

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図書部のお仕事でつぐみちゃんがコスプレをしてくれました、えっ違う?今回のメインヒロイン?これは失礼しました。

  正直今作ですが、前作の大図書館の羊飼いがあの感じだったのであんまり期待してなかったんですが結構面白かったです。一言で言えばエロゲ―になったファイアーエムブレム

 世界観は明治維新と終戦後の日本と現代をかき混ぜた下地に武人や呪術といったファンタジー要素をトッピングした伝奇もので、一つ一つの要素はそこまで新しくもないんですが、うまくまとめられていたので新鮮に感じました。

 

 攻略可能キャラは一応5人(+サブ3人)となってますが、メインヒロインである朱璃ルートとサブ4人ルートという認識でいいと思います。選択肢は4つだけでそれぞれの選択肢でサブヒロインルートに分岐します。ただシナリオ読めばわかるんですが、プレイヤーの意志が介在しない限りは正史に至らない選択肢を主人公である宗仁は選ばないことが容易に想像できます。それゆえかサブヒロインルートはさっくり終わってしまいます(滸エンドに至っては俺たちの戦いはこれからだエンド)。今作メインヒロイン以外のキャラが魅力的だっただけにそこは残念でしたが、その分グランドエンドの朱璃ルートはそれらをひっくり返せる力を持っていたと思います。

プレイ後の好きなキャラの順番は

奏海>古杜音>>エルザ>>朱璃>滸

キャラ解説およびルート感想

稲生滸

 戦闘狂。宗人大好きっ娘だったが、宗人と背中を合わせて戦ったときに、武人として闘いの中に生きることこそが自分の一番だと気づく。牢屋でのシーンは必見。

滸ルートでは宗仁と幸せな日々を過ごすが、本当に唐突に終わったのでなんとも言えない。いくら序盤で言えることが少ないとは言え、これは滸ちゃんファン的にはひどい仕打ちなんじゃないでしょうか?武人の女は子供を産めないなどという暗い話がありましたが、特にそこは深く突っ込まれていませんでした。その辺膨らませたら、もう少しまともにできた気もするんですが・・・。

 正史ルート、最終決戦にて、呪術で再度雪花に操られそうになったときに自力で解除し、敵を斬るシーンは熱かったです。うなじ。

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滸ちゃんが一番輝いたシーン

鴇田奏海

 お義兄様絶対至上主義者。お義兄様のためには国をも犠牲にすることも厭わないというぐらい頭にはお義兄様のことしかなく、心刀合一を素で体現していたすごい奴です。奏海ほど作品を通して一貫している主要キャラはいないと思います。武人でもないのに恐ろしいほどの丹力を見せて、偽の皇帝『翡翠帝』を演じきります。

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可愛い

 奏海ルートでは、エルザに嵌められそうになった宗仁を、自分は偽皇帝であると世間に発表して計画を破綻させることで助けます。奏海はその罪に問われ処刑されそうになり、奏海を助けるため宗仁は単身敵の本拠地に乗り込みます。うまく侵入できた宗仁でしたが、いざ奏海を連れて逃げようとしたときに、共和国軍総督であるウォーレンに見つかり散弾銃で4発で行動不能にされてしまいます。追い詰められた宗仁と奏海でありましたが、一瞬の隙を突き奏海が自分の簪でウォーレンを殺すことによりその場をしのぎます(ちなみにウォーレンが死ぬのは奏海ルートのみ)。しかし、皇国の皇帝が共和国の総督を殺したとなれば、奏海は処刑され皇国は共和国の属国として今よりもひどい扱いになってしまう―それはまずいと、総督を殺した罪を宗仁が代わりに引き受けようとし、またエルザもそれを認めようとしました。そんな中、もし宗仁を処刑するならばとエルザにいった奏海様のお言葉がこちら

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 奏海は宗仁が処刑される代わりに自分はなんでもすると言います。

 ここで筆者は共和国の政治家にNTRされる奏海ちゃんを想像して吐きそうになりました(普通に気持ち悪い感想)。おまけ見た感じだとそんな展開でもなさそうで安心しました。

 奏海の覚悟を受けたエルザはウォーレン殺害を闇へと沈めるかわりに、奏海に翡翠帝としてエルザの傀儡になり自分の理想の国家作りに協力させることで手打ちとします。お義兄様絶対至上主義者の奏海ちゃんは、皇国のことなど毛頭にもなくエルザの提案に乗ります。その後一日宗仁との最後のデートを楽しみ、奏海は翡翠帝として皇国民の前に姿を現します。

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このCGの奏海ちゃん可愛すぎる。

 偽皇帝であると自白してもなお、翡翠帝は皇国民から大きな歓声の中迎えいれられます。奏海は宗仁を求めるだけで皇国民のことなどそこまで考えていませんでしたが、理由はどうであれ確かに敗戦からの3年間国民を癒し続けてきたのは彼女で、皇国民にとっては血筋などは関係なく彼女こそが皇帝であったのです。その時、偽りであろうとも皇帝として国民を守っていこうという強い意識が芽生えます。

 嘘が本当になるとはいったもので、翡翠帝は本物の皇帝になったのでした。確かに敗戦で疲れ果てたときにこんな可愛い子が皇帝で、背中丸出しで常にパンツが見えてるような服着て励ましてくれたら頑張ろうと思うような気がします。ちょっと上手くいき過ぎな感じはありましたが、綺麗な終わりだったんじゃないかなあと。

 正史ルート、最終決戦での奏海は、歴代皇帝に祈りを捧げ宗仁を守ります。このシーンがまたいいんですよね。血筋を越えて奏海は翡翠帝として歴代皇帝に認められる、これはただひたすら宗仁を守りたいと思った結果、心刀同一の境地に達したからなのだと思います。純粋に一つのことを祈れる人は美しいですね。

  奏海ちゃんはOPみた時点でめっちゃ可愛いなと思ってました。見た目からしてドストライク(後ろのポンデリングが最高に良い)なのに、義妹、姫属性といろいろおまけでついてきたらそりゃ好きになります。花の飾りもよく似合ってます。控えめだけど芯が強いところも大好きです。おまけの学園でのエッチは控えめに言って最高でした。スカートを銜えてたくし上げるCG(脱ぎ過ぎずかといって隠し過ぎない感じが最高)とか背徳感溢れる描写とか大好物なんですが皆さまはどうでしょうか。ほっぺたぷにぷに。

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奏海ちゃんを赤面させたい人生でした

 エルザ・ヴァレンタイン

 常識人。侵略国家である共和国に強い反感を覚えるが、その侵略で得た富により自分の血も肉も作られているので安易に否定もできず、侵略した皇国を民主化するという大義名分を遂行することによって自己をなんとか正当化しようとしている女の子。しかし宗仁達のような武人の忠義の生き方に触れ、後悔しないような道を選んで生きようとします。

 エルザルートは、共和国軍総督ウォーレンが民間人を大量に犠牲にしてでも、空襲で武人の隠れ家を叩こうとしたことに対して強い倫理的反感を抱き、配下の部隊を引き連れて民間人救出に向かうところから始まります。

 ここウォーレンが武人達を倒すには、奇襲の広範囲爆撃が一番有効だって言っているのがほんと面白いです。武人は確かに強い奴だと1人で銃火器で武装した100人の部隊を余裕でほふれるぐらいの強さを持っていますが、装甲は槇数馬以外、銃弾を1発受けると致命傷になるぐらいの紙(普通の人間なみ)ですので、知覚外からの避けれない範囲爆撃には弱いっていうのは理にかなってます。話を通して倫理観は犬の餌ほどですが、ウォーレン君は非常に合理的な生き方をしていると思います。

 皇国の民間人を救出にいったエルザを、宗人は単身助けに向かいます。そこで宗人は蒼破刃(もしくは36煩悩鳳)を打ってヘリを撃墜したり、弾が追尾する呪術銃で爆弾を打ち落としたりしてなんとか被害を最小限に食い止めます。その後怒りのままにクーデターを起こし、ウォーレンを打倒して―という話でした。内容的にはちょっと急展開すぎかなあという感じもありましたが宗仁とエルザが協力して戦うシーンや、父親と決別するシーンはなかなか良かったと思います。

 正史ルート、最終決戦でのエルザは、共和国軍を率いて武人と共闘します。共和国軍が銃器で足止めし体制を整えた武人が斬るという見事な連携プレイを見せてくれました。エルザルートで使った呪装銃を使っての滸との連携は熱かったです。

 最後に、本作中エルザは尻アップカットがやたら多くてオーガストはよくわかってるなと思いました。童顔なんですけどエロいんですよね、これが共和国の実力・・・!ふともも。

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本作やたら多かった尻アップカット。ちょっと食い込んでる感じが最高ですね(誰に言っているのか

 椎葉古杜音

  菩薩。すべての皇国民を愛する斎巫女。その対象は呪術の道具にされ殺されかけた雪花すらをも対象にします。尋常のものならば、恨まずにはいられないところを古社音はその人間に同情して許してしまう。あわあわしつつも決めるところはしっかり決めます。ツッコミとボケをこなす本作品では貴重な人物。

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キレのあるツッコミ

 古杜音ルート(途中まで正史ルート)、本作品の謎が次々と解明されていきます。皇国誕生と初代皇帝と三種の神器、斎巫女の役割、呪術の原理、意味深に現れてた雪花ちゃんの正体等々。

 朱璃と古杜音を守るために大けがを負った宗仁。なんとか伊勢野逃げ落ちるものの、宗仁は目を醒まさず、ともに戦った武人達の生死は不明。意識を失っている間、宗仁は長い夢を見ます。それは自分が初代皇帝、緋彌之命によって軍事国家『胡ノ国』を打ち倒すために作り出された最強の呪術兵器、ミツルギであり、転生するはずの緋彌之命を待ち続け2000年もの間皇国を守り続けるという夢でありました。そして夢の中で皇国に仇名す禍魄の存在が明らかになります。

 夢から目を醒ました宗仁はミツルギの力を取り戻す方法を探します。一緒にお風呂に入ったりと花嫁的なさむしんぐを試したりもしましたが、なかなか力は戻りません。

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このCGは正直最高でした。

 遂には大規模治癒呪術を行使することにより、ミツルギの力を引き出そうとしますが、元の武人の力はもどったもののまだ足りず、古杜音は呪術の使いすぎで倒れてしまいます。ここで伊瀬野の巫女、五十鈴ちゃんによって呪術の原理について明らかになります。

  • 呪術は、大御神の力を借りて世界の因果を捻じ曲げて起こす現象。
  • 因果を捻じ曲げると、それと同等の因果のひずみが生じ、世界に悪影響を及ぼす応報という現象が起こる。
  • 緋彌之命は因果のひずみを別の世界、根の国へと送るシステムを作ることで、巫女たちが応報を気にせず大規模呪術を容易に使うことを可能にした。
  • 呪術を使う度に、因果のひずみの集積所である根の国と接触することにより、心が少しずつ穢れていく。

 これを読んでた私は、

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って呟いてました。別次元に負の遺産を送るってそれダメなパターンやで工藤。

 古杜音が伊瀬野の結界に用いていた呪力まで宗仁復活のための大規模呪術に用いたため、共和国軍に寝返っていた巫女の雪花に居場所を感知されます。そして、結界の復旧が間に合わないうちに共和国軍の戦闘機が伊勢野を攻めてきます。巫女たちの呪術による迎撃や宗仁たちの活躍により均衡していた戦局ですが、雪花によって操られた刻庵殿の出現により一気に傾きます。つえーんですよ刻庵殿。この界隈の剣士の爺さんってやたら強いですよね。追い詰められた宗仁達ですが、ここで古杜音は自分のとってた手法の間違いに気が付きます。宗仁を人として治療しようとしていた古杜音でしたが、宗仁を道具だと認識し”研ぐ”ことにより、ミツルギの力を引き出すことに成功し、刻庵を撃退します。その後、チート呪装兵器『守護呪壁』『天御柱』の発動により共和国軍を文字通り消滅させます。

 この天御柱は本当にチートです。敵だけをこの世から一瞬で消し去るってもはやお前それで戦争のときも共和国倒せばよかったじゃんって言ってました。まあ呪力を使うから連続で使えないとか、場所固定とかいろいろあるんでしょうけど。

 共和国軍の猛攻をしのいだ宗仁達でしたが、突如現れた八岐雪花の呪術によって行動不能にさせられてしまいます。 雪花の狙いは古杜音でした。ここで雪花によって皇国の闇が語られていきます。曰はく

  • 八岐家は緋彌之命に滅ぼされた胡ノ国の斎主だった家柄である
  • 八岐家は代々大規模呪術を用いる際の型代役で、八岐の祖先はみなその際に命を落としてきた
  • 因果のひずみの廃棄場所である根の国は胡ノ国の大神、黒主大神の住処であった

 そりゃ皇国民を皆殺しにしたいという雪花の気持ちも理解できるというものです。誰かが笑えばその陰で誰かがなくこの世界、まさに因果と応報。古杜音は雪花に同情しつつも、皇国民の安寧を守る斎巫女として雪花に立ち向かいます。しかし、大規模呪術やミツルギの研ぎを行ったことにより、ほぼ呪力は残されていません。そこで古杜音は呪術の存在について考え直します。

  • 呪術の根源は大御神に祈り、願いの成就を乞うこと
  • 祈りを大御神に届ける事ができた人間が巫女と呼ばれた
  • 供物や祝詞は祈りが届く可能性を上げる手段である

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  古杜音は皇国民の安寧を願う純粋な祈りを大御神に捧げることで、因果のひずみをも生じさせない真なる奇蹟である原初の呪術を使うことに成功し、雪花を打ち倒します。

 これもまた心刀同一の結果なのでしょうか。心を一つの願いに染め上げることで奇蹟を起こす―常に皇国民のことを思い、命を捨てる事も厭わない古杜音だから使えた奇蹟なのだと思います。ただ純粋に祈ったから大御神が叶えてくれたまでは理解できるんですが、因果のひずみが生じないっていうのは納得しかねました。他の呪術も大御神の奇蹟なのだからそこになんの差があるのかと。

 ここで古杜音ルートでは雪花の持っていた宝珠が割れなかったために、この後は平和な世界が訪れます。雪花が死んだことによって共和国は呪術を知る術が無くなり、また研究機関も武人により破壊されてしまったことによって皇国を支配し続ける価値が薄くなり、共和国軍総督ウォーレンは撤退します(どこまでも合理的なウォーレン君)。その後皇国は独立し、古杜音は皇国と共和国の橋渡しになるべく奮闘していく―というエンドでした。

 古杜音ちゃんは殺伐な千の刀濤の世界で、私の心を癒し続けてくれました。流石斎巫女。すべての人を純粋に愛することって難しいと思うんですよ、どうしたって自分に不都合なことをする人っていうのは現れるものですから。因果と応報、まさにその通りで良いところもあれば悪いところもある。悪いところもしっかり受け入れ、それでいて自分の中の純粋さを見失わない古杜音ちゃんは本当に輝いて見えました。全ヒロイン中で嫁にするなら古杜音ちゃん一択だと思います。後、おまけの大御神の御前でHするというのは背徳感がマックスでとってもよかったです。今回のシーンは全体的に良いとわたくし歓心仕切りで御座います。おっぱい。 

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すみません

宮国朱璃

 宗人が大好きな普通の女の子。初代皇帝の生まれ変わりだとか、皇家唯一の生き残りだとか大層な設定がついてますが、皇国のためとかなんとかいいつつも結局は宗人が一番という本当に普通の女の子です。いわゆる神に愛された子で彼女が泣くと神様は願いをつい叶えちゃいます。特技は威光であり、彼女が本気をだすと相手はひれ伏します。

 朱璃ルートは、古杜音の原初の呪術で雪花の持っていた宝珠が割れることから物語がクライマックスへと進んでいきます。宝珠は先代の斎巫女が禍魄の力を封じ込めたもので、これが破壊されたことにより禍魄は元の力を取り戻し、宗仁達の目の前に立ちふさがります。古杜音の研ぎによりミツルギの力を取り戻したと思っていた宗仁でしたが、元の力を取り戻した禍魄に手も足も出ません。朱璃と宗仁との強い繋がりが、ミツルギの覚醒を邪魔しているのだと禍魄に指摘されてしまいます。朱璃は心の底では緋彌之命ではなく朱璃として宗仁と繋がりたいと思っており、それをどこかで感じていた宗仁はミツルギの覚醒を妨げていたのでした。禍魄はミツルギ覚醒のため朱璃を殺そうとします。手足を斬られ絶体絶命のとき―

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このシーン、太鼓のBGMと合わさってくっそ格好いいです

倒れていたはずの刻庵が正気を取り戻し、禍魄を止めます。しかし、斬られたはずの禍魄はすぐに再生し、またも絶体絶命の状況になりましたが、禍魄は気が変わり古杜音だけを攫い消えてしまいます。

 ここ、禍魄の生きる目的は『世界で最も美しい景色を見つける』ですから、さっくりと朱璃を殺してしまってミツルギが道半ば倒れてしまうと面白くないんですよね。だから朱璃を捨ておいたというのは整合性があるのかなと思います。悪役が仮面ライダーの変身を待つ原理と同じですね。

 遂に古杜音まで失い、宗仁と朱璃の二人になってしまい、力を求め二人は自分を捨てる覚悟を決め天京に向かいます。なんとか天京へとたどり着いた二人ですが、そこで悲惨な光景を目にします。禍魄は3種の神器の一つ人の心を操作する天御鏡の力により、皇国、共和国問わず殺しあうように仕向けたのでした。一刻も早く力を取り戻すために宗仁と朱璃は3種の神器の一つ八尺瓊勾玉が眠る紫霊殿へと急ぎます。無事紫霊殿へと侵入することができた二人でしたが、そこに禍魄が現れます。禍魄を打倒するため、朱璃は勾玉を使い自分の中の緋彌之命を呼び起こします。朱璃の人格が消滅するとともに、宗仁の人格も消え道具としてのミツルギが浮上し、元の力を取り戻した2人は禍魄を斬り、天御鏡を止めます。ここで緋彌之命から禍魄の正体について語られます。賢明なギャルゲープレイヤーならこの時点で察しているとは思いますが、禍魄はミツルギ創成の際の因果のひずみ、つまり『皇国に降りかかる厄災を斬るものの』対になる『皇国に厄災をもたらすもの』だったのです。

  緋彌之命はミツルギとともに呪術で再現された二千年前の皇国を練り歩きます。そこでまだ自分たちの中には宗仁と朱璃の魂が残っており、このままでは力を完全に引き出すことはできないと言います。それゆえに自分が再び消滅することによって、体にある魂を一つにしようと。

 緋彌之命の魂が消滅し、再び朱璃の人格が浮上してくると共に、ミツルギの中で宗仁の人格が浮上します。ともに、消えきれなかったことを悔やみつつも再び出会えたことを喜びあいます。

 もし、朱璃が体を緋彌之命に明け渡す際に禍魄が現れず、最期に宗仁と一晩の思い出でも作っていたら無事に緋彌之命に体を明け渡せてたのかもしれません。また、二千年も待ったのに即帰還となられた緋彌之命さんとミツルギ君のお気持ちは察するに余りあります。緋彌之命の力なら自分の中にある弱弱しい魂ぐらいは消し去ることもできたでしょう、それでもそうしなかったのは、皇帝は国の道具であるという意識や禍魄を生み出してしまったことへの後悔からなのではないかと思います。

 さて、宗仁と朱璃は禍魄との最終決戦に向かいます。道具ではなく人として生きる事を選んだ宗仁ですが、太刀筋に雑念が混じり、人を殺す道具として完全である禍魄に蹂躙されます。朱璃との連携でなんとか封印することに成功するも、呪力が足りずに封印が破られ、朱璃は重傷を負ってしまいます。絶対絶命、追い詰められた宗仁は一つの真理に到達します。国など関係ない、友も自分の命も何も要らない、ただ愛するものを守れればそれでよい、そしてこの一つの感情で自分を埋め尽くすことこそ心刀合一なのだと。心刀合一の真理に到達した宗仁は、天御剣を創成し、禍魄を打ち倒します。

 シナリオを通して、純粋に心を一つの感情で染め上げたものは想像以上の力を発揮してきました。ただ純粋に戦いたいと思った滸は当主としての才覚を発揮し、不知火を抜くことができたし、純粋にお義兄様を求めた奏海は血筋を越えて皇帝として認められたし、純粋に人を愛した古杜音の祈りは大御神に届き、原初の呪術を成功させました(あれ、エルなんとかさんは??)。それ故に、朱璃を守るという一つの感情で染め上げた宗仁が天御剣を抜けたのも納得がいきました。まあそれで因果のひずみまで浄化しちゃうっていうのはどうかなって感じもしましたが。

 これで終わっても十分良作でしたが、まだ続きます。宗仁と朱璃が禍魄との最終決戦をしている裏で、雪花ちゃんが古杜音ちゃんをエロ同人みたいな縛り方して呪術の依り代とし、黒主大神を現世に顕現させてしまいました。黒主大神は自分の住処を因果のひずみのゴミ捨て場にしたことに大層お怒りで、天京を灰にしようとします。神を打ち倒すことはできない、人にできる事はただ真摯に祈ることのみ。宗仁は自分を黒主大神の供物として捧げて、永遠に根の国で因果のひずみを浄化し続けることと引き換えに、怒りを鎮めてもらうことに成功します。同じく因果のひずみと宗仁の対の存在である禍魄も根の国へと送還されたことにより、皇国に平和が訪れます。

 そして1年後、朱璃は皇帝として皇国のため働いていました。必死に復興のため働いていても空虚が心を襲います。一番欲しかった宗仁は根の国へと旅立ったまま一生帰ってこない、国なんかよりも宗仁が一番だった朱璃にとっては耐え難い苦痛であると思います。そしてある日その想いが決壊し、涙は桃の花弁となり天京に降り注ぎます。あるものはそれを美しいといい、あるものはそこに悲しみを見つけます。桃の花弁は祈りとなり、大御神に届きます。大御神は祈りを叶え、根の国の因果のひずみを浄化し、宗仁を元の世界へと引き戻そうとします。禍魄は元の世界に戻ろうとする宗仁を引き戻そうとしますが、宗仁の中のミツルギが分離し禍魄を押さえ、宗仁は無事に元の世界に戻ります。そして―――

 正直最後の祈って大御神がすべて解決しちゃうのはご都合展開ここに極まれりという感じですが、人間としての宗仁と道具としてのミツルギが分離し、ミツルギと禍魄が相殺されて、人間としての宗仁だけが残るというのはまあ無難なオチなのかなって思います。欲を言えば朱璃ちゃんは1年ではなく10年ぐらい国のために働いて、それでも宗仁のことを忘れられず泣いてしまったら神様が助けてくれたぐらいしてくれたら良かったのかなと思いました。最後のシーンを見てた私は、画面の前でちょっと大御神さん甘すぎちゃう?って言ってました。(まあそんな時間経ったら歳とって立ち絵差分増えちゃうししょうがないね?)

 

 日本人は感情を排して物事に取り組むことで大きな成果をあげられると考える傾向が強いと思います。例えば、子供のころ宿題とか嫌だなあと思いつつもそれを真面目にコツコツやる人が成果をあげられると思っていませんでしたか?感情では宿題やってる時間にスポーツしたり、読書したり、ゲームしたり、はたまたもっと違う勉強をしたりしたいと思っていたんじゃないでしょうか。でもそう思うことは悪いことではない、逆に純粋に自分のやりたいことで心を染め上げたとき、私たちは大きな力または成果を残すことができる―すなわち心刀合一を以て己の限界を超えよ、そんなことをこの作品では伝えたかったのかと思います。

 朱璃ちゃんの説明というよりは、この作品の説明みたいになってしまいましたが、まあ朱璃ちゃん自体はそんな好きではなかったのでしょうがないですね。よく見たら朱璃ちゃんのスクショ一枚もなかった。

総括

 多くのプレイヤーが既に言及していることだと思いますが、このゲーム設定に矛盾点が多いです。特にこうやって記事を書いてストーリーをまとめていると気づくことも多かったです。一番大きいのは、何故ミツルギが鴇田家に入ったのかっていうのと、姿形が変わらない宗仁を奏海や滸は疑問に思わなかったのかです。また心を刀とし生み出した天御剣を道具であったミツルギがどうやって出していたのか等疑問に思うところは多数ありました。あとおまけだから仕方ないかもしれませんけど、付き合った後の宗仁君の性格の変貌っぷり半端なくないですか?恋すれば人は変わるとは言いますが、朴訥な宗次君が私は好きでした。

 それでも流れる雰囲気と怒涛の展開、戦闘シーンなど十分に楽しむことができましたし、CGは相変わらず綺麗でBGMも良かったです。各キャラもしっかりツボを押さえており、特に奏海ちゃんはとっても可愛くて最高でした。極論ですけど、自分が最高に気に入ったキャラがいるゲームは、どんなに他がダメでもよい感じはあります。また朱璃ルート以外のルートを極限まで短くし、イチャイチャ部分はおまけに送ったのもこのゲームでは英断だったと思います。前回みたいでやっつけでエロシーン入れられてもなんとも言えない気持ちになるので。

 前作の羊飼いもそうだったんですけど、すごくほかの部分が手が込んでいるだけに少しの粗がすごい目立つんですよね。まあでも、今作は十分良作と言えるんじゃないでしょうか?あともう一歩で90点つけられる出来だと思います(上から目線極まりない発言)。

 こんなところで今回は終わりにしたいと思います。めっちゃ長くなりました(1回クロームが落ちて書いてた文章全部消えたときにはそのままお蔵入りにしたろうかとも思いました)が、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。