マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

ギャルゲーマーによる『なろう小説』のススメ

 皆さん、小説家になろう(以下なろう)という投稿サイトはご存知でしょうか。

 もう最近は、なろう出身の作品が続々と書籍化されたり、アニメ化されたりして、かなり有名になってきたのではないかと思います。Reゼロも、さすおにも、このすばも、ダンまち、ログホラもなろう出身ですね。そして、これらの作品たちを見た読者および視聴者達は、こう思うかもしれません。

「無料でこんなクオリティの高いラノベ読めるなろうってすごくね?」

と。確かにそれは正しいのですが、多くの方がご存じの通り、上の作品達はなろうの中でも上澄み中の上澄み、例えるならば東京大学でもトップクラスに優秀な学生というところであり、ほとんどの作品は東大生どころかFラン大学生もいいとこどっこいのレベルだったりします。お決まりのパターンとして、いきなり何らかの形で死んで異世界転生してチート能力を与えられ俺TUEEするか、突然魔法陣で異世界に転移させられ、チート能力と謎の現代知識でハーレム作って無双するというものが多いですね。最近では、スマートフォンを異世界に持ち込んで俺TUEEする作品がアニメ化しましたが、世間では「なろう欲張りセット」「これが本物のなろう小説」などと言われていますね。実際的を射ていると思います。個人的にはまだまだマシな方だと思いますが・・・。

 私としてはそんな糞みたいな小説達も味があって結構好きだったりするので、糞みたいな作品たちから面白い作品を探すのも楽しいのですが、一般的には労せず面白い作品を読みたいと思う人が多数だと思います。

 前置きが長くなりましたが、今回はそんな皆様たちのために、玉石混合ななろう小説たちの中でも個人的に結構いけてるんじゃないかと思う作品をご紹介したいと思います。

というわけで一つ目

平和の守護者

創世のエブリオット・シード 平和の守護者1 (ファミ通文庫)

創世のエブリオット・シード 平和の守護者1 (ファミ通文庫)

 

 初めに紹介するのは「平和の守護者」です。正直タイトルが普通なので、PVを稼げてない所がありますが、書籍化もした力のあるSF作品です。

 話としては、『ES能力者』と呼ばれる超能力者が現れた、日本のIF世界で、空を飛びたいと夢見る主人公が、ES能力に目覚め、大きな陰謀に巻き込まれつつも、夢を叶えるため努力していくといったもの。

 この作品の良さは、独特の世界観と、能力を使った熱いバトルですね。主人公君の河原崎君はお調子者なんですが、真面目で努力しコツコツと訓練して力をつけていく、しかし敵は強大で何度も死にかけるが、そのたび強くなっていくという、昔懐かしの友情努力勝利を体現しており、おススメです。

 個人的に、バトルものは主人公が強すぎると、話が単調になりがちになるのであまり好みではないんですが、そういう点でも「平和の守護者」は強すぎず(主人公の先生が作中でも最強すぎて主人公がいい意味で目立たない)、弱すぎずとても良いと思います。

 書籍化はされていますが(2巻はでないんですかねぇ・・・?)、なろうでまだ普通に読めますし、完結済み(なろうで一番偉い要素)なので、気軽に読めますね。良くも悪くもなろうっぽくない作品なので、万人向けなのではないでしょうか。

 エリィ・ゴールデン~ブスでもデブでもイケメンエリート~ 

  続いて紹介するのはこれ「エリィ・ゴールデン~ブスでもデブでもイケメンエリート」。タイトルからして面白そうなんですが、中身も面白いです。これも最近書籍化した作品ですね。

 あらすじ。大手商社で自称スーパーイケメンエリート営業マンをやっていた主人公小橋川は交通事故に合い、精神だけ異世界のデブスな少女の体に転移してしまう、新しい自分の体に絶望しつつも、少女の境遇を知り、ダイエット、オシャレ、営業活動、冒険を頑張り、パーフェクト美少女になって成りあがるという話。

 この作品の良い点としては、やっぱり自称スーパーイケメンエリート小橋川が格好いいところですね。とにかく前向きで、しかも頭が回り、ユーモアも効くという。スーパーイケメンエリートを自称するだけのことはあるという感じです。

 また、コメディタッチで進んでいるため読みやすく、それでいてしっかり異世界での営業活動を描いている所が偉いと思います。なろう作品だと、異世界で商売する話は結構あるんですが、チートを使ってチート製品を量産して、これは凄いと売れていくものばかりで実質商売やってないんですよね。一方でこの作品は、確かに現代知識を使っているものの主人公はそれが売れるためにはどうすればいいのかキチンと筋道を立てて考えており、売れるまでの過程が合理的です。それを馬鹿真面目に書いてしまうと眠くなってしまうのですが、面白おかしく書いてライトノベルの枠に落としこんでいるのが素晴らしいと感じました。

 アクションパートも良いです、魔力を纏った拳法とかかっこよすぎますね(ネギまとかめっちゃ好きだった)。サブキャラクター達もパンチがきいてますし、男キャラが多いのも昨今のなろう小説の中では好感度高いです。

 こちらも書籍化はされてますが、なろうでまだ普通に読めますのでお気軽にどうぞ。最近更新速度が落ちてるのでエタらない*1ように願いましょう。

*1 エタる 作品が完結しないまま、更新されなくなること

田中のアトリエ

田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~ 1 (GCノベルズ)

田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~ 1 (GCノベルズ)

 

   まだまだいきます、続いて紹介するのは「田中のアトリエ」です。書籍化されたときに流石にガストに怒られたのかタイトルが変わってますね。タイトルから錬金術を連想させますが、主人公全然錬金術しないのでまあ妥当な変更だったのかなと。

 あらすじ。クッソブサイクな主人公田中は神様の手違いで死んでしまい、その代わりに神様は何でもチートをくれてやると言います(なろうではよくある光景)。クッソブサイクな田中はイケメンになってハーレムを作りたいと願いますが、田中はイケメンになれない星の元に生まれており、イケメンになることはできませんでした。その代わりとして田中はせめて死なないようにと回復チートをもらい、異世界へと飛び出していきます。しかし、異世界でも小汚いブサメン中年おっさんへの風当たりは強く・・・という話。

 この作品、賛否両論あると思いますが、私は滅茶苦茶好きです。この作品読んで1年分ぐらいは笑いました。初めの展開はなろうにありがちな展開ですが、転移した先で速攻牢獄にぶちこまれて、同じ牢屋にいた女騎士の排泄物を監守に投げて脱獄した主人公がかつていたでしょうか、いやいない(反語)。恐らくこの一文でご理解いただけたと思いますが、この作品滅茶苦茶下品です。でもだからこそ面白い。

 主人公の田中は処女厨で妄想癖があって変態なんですが、他のキャラクターたちも変態ばっかなんですよね、尿入りの紅茶を出して興奮するメイドとか。展開自体は割と普通なんですが、この個性的なキャラクター達が交じることでカオスを生み出して、とても笑えます。会話文でめっちゃ紳士的でいいこといってるのに地の文で台無しなこといってたりとか。クッソゲスイこと考えてるのになんでかうまく回ってしまったりとか、これぞギャグコメディという感じです。

 正直書きたいことはめっちゃあったんですが、ほとんどネタバレになってしまうのでやめました。まだなろうで読めますので(ちなみに完結済み)、是非読んで笑ってください。

 最強魔法師の隠遁生活

最強魔法師の隠遁計画1 (HJ文庫)

最強魔法師の隠遁計画1 (HJ文庫)

 

 最後に紹介するのは、これ「最強魔法師の隠遁生活」。タイトルを見て、「あっ、いつものなろうだな」って思った方、間違ってはいないのですがちょっとまってください。

 以下なろうのあらすじ引用*2(めんどくさくなったわけではない)

100年前、突如として魔物が現れ人間を襲いだした。当時、通常兵器では魔物の硬質な身体に傷を付けることすらできず、人類はその数をあっという間に減少させ身を守るかのように7カ国に併合する。魔法の技術が軍事転用されたことで侵攻を妨げることに成功したが、未だ種の存続が掛かる異形の魔物との戦い。その最前線で常に命を賭けていたアルス・レーギンは軍役を満了したために16歳という若さで退役を申し出た。だが、そんな彼を国が手放すことができるはずもない。アルスは10万人以上いる魔法師の頂点に君臨する一桁ナンバー【シングル魔法師】なのだから。

  よくある転移・転生ものではなく普通のファンタジ―ですが、結構世界観が殺伐としています。市民たちが仮初の平和を享受し、のうのうと生きている横で、兵士である魔法師達はどんどん死んでいく。魔法師を育成するための学校では、現場のことが全く分かっておらず、箱入り魔法師がどんどん生成されていき死ぬ。そんな世界で最強の魔法師である主人公アルス君がいろいろな事件に巻き込まれつつも奮闘していくという話です。

 主人公TUEEには変わりないんですが、敵キャラもそれなりに強く、世界観もしっかりしているので話に引き込まれます。またヒロイン達も可愛いのでおススメですね。まだまだ続きそうな作品なので、エタる可能性も十分にありますが、今後に期待ということで紹介させてもらいました。 

 *2 http://ncode.syosetu.com/n5606cq/

 

というわけで、今回はこの4作品をあげさせていただきました。あえて有名すぎて紹介する必要もないと思ったので、「無職転生」は外させていただきましたが、「無職転生」はなろうの中でも別格に面白いので、読んでいない方は是非に。他にも面白い作品は一杯あるので、また機会があれば記事にしようかと思います。