マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

超大作SF「三体」のすすめ

 最近話題になっている「三体」を読みました。一言スゴい作品だったので、簡単に紹介したいと思います。

今回はギャルゲー全く関係ないのであしからず・・・(ヒロインはお婆ちゃん!?)

三体

三体

 

 元々中国語の作品で、日本語訳されたものを読みましたが、翻訳が丁寧で、特に違和感を感じませんでした。登場人物の名前が馴染みのないもので、なかなか覚えられませんでしたが、それも雰囲気が出て逆に良かったですね。

 三体は中国が舞台のSFです。SFですが、文化大革命で壮絶な経験をした葉文潔の話から始まり、その濃厚な描写に引きこます。私は文革について詳しくは知らないのですが、これを機に勉強してみたいなと思わされました。

特に山をチェーンソーで開墾している場面で、知識階級である文潔が自然破壊について憂いているのに対し、その行為の是非について問われた作業員が、心の底から何を言っているのか分からない顔をしていたところが印象に残っています。自分が気づいていないだけで大局を見れば悪を行なっているかもしれないと文潔が気づいた象徴的なシーンだったと思います。これが後の文潔のとある行動に繋がってきます。

 時代がとんでナノマテリアル科学者(漢字が変換できない)が主役になって物語が進むのですが、この辺はミステリっぽく読みやすかったですね。

また、ここででてくるVRゲーム三体がめちゃくちゃ面白いんです。太陽の位置がランダムに変化して、極寒から灼熱への入れ替わりが激しい世界で生きていくというゲームで、主人公が謎を解明していくわけですが、呪いから始まりこう来るか!っていう手法も現れ、これだけで一本作れるのではないかというレベルでした。

 このVRゲームから物語の核心へとせまるわけですが・・・ここからはまさにSFといった超技術が繰り広げられ、それまでの伏線が回収されていくのが気持ちいいです。

話はここでひとまず終わりで、次回作に続くといった所ですが、十分これだけでも一つの作品として完成していましたね。

 作品を通じて色々な登場人物が出てくるのですが、その中でも大史という警察官が非常にいい味を出していて、私は好きでした。話の内容から知識階級の人物が主なのですが、そんな中からこそ粗野な態度でありながら、核心をついてくる彼は目立っていましたね。最後のシーンの彼のセリフはどんな時でも前向きに現実を捉えられる彼の性格が出ていて印象に残っています。

 

 三体はなんと三部作らしく、まだ邦訳はされていないようなので、英訳版を買うか非常に悩んでます。どうも2020に二作目も邦訳で出版されるようなので、そこまで待ってもよいかも?