マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【なろう感想シリーズ②】『セブンス』

 この間読んだ【乙モブ】が面白かったので、同じ作者様の【セブンス】を読んでみたんですが、これ面白いですね。一気に読んでしまいました。お陰で寝不足です。

 ここから先、ネタバレゴリゴリ書くのでご注意を。

 

 この作品のどこがよかったかと言えば、前半戦は”らいえるサン”、後半戦は純粋に物語の展開ですかね。

 前半戦のらいえるサン出現回では机たたいて笑ってましたね。主人公【ライエル】の序盤は(宝玉のせいもあり)本当に貧弱で、魔法数発打ったら倒れるし、ヒロインの【ノウェム】のおんぶにだっこで、しかも宝玉の中にいる歴代ウォルト家の面々のいいなりと、正直ストレスフルだったのですが、そんなストレスを解消させるかのように、成長した後のライエルは最高でした。私も物語を読みつつ、歴代の面々と同じように笑ってました。最初はこれが楽しみで読んでいた所があります。個人的ベストライエルは、ヴェラにいった「気をつけろ。俺の事を考えるなよ。考え続けたら、俺に惚れるぞ」ですかね。これで落ちるヴェラはマジチョロイン・・・いや流石はらいえるサンと言ったところでしょうか。ああでも、ノウェムに愛の告白をして微妙な顔でスルーされるらいえるサンも捨てがたい!ベストライエルを決めるのはなんて難しいんだ!

 後半戦は純粋に面白く、先が気になりすぎて土日が溶けました。酸いも甘いも経験して、歴代のスキルを吸収し、成長を重ねて強くなったライエルが、セレス打倒のためあの手この手で味方を作っていくという展開ですが、色々な思惑が錯綜する中、手のひらでいろんな勢力を転がしていく様子が上手く描かれており、感嘆しました。

 この作者様の作品は、現実よりの話を書きますね。正しいことが只管に正しいんじゃなくて、正しいことの裏では泣いてる人もいるということがよく表現されています。それを表すように、純粋に悪が成敗されるというだけではなく、時には罪のない人々、無知は罪とも言いますが、も主人公の目的を果たすために犠牲になっていきます。ベイムの村人たちが、バンセイムの騎士たちに蹂躙されるシーンは印象的ですよね。その瞬間その瞬間で見れば、ライエルがやっていることは決して正しいとは思えない。でも、だからこそ、ライエルの行動に強い説得力が出ていました。やっぱり皇帝たるもの血を流さなきゃいかんと思うわけです。

 ちょっとチートを持ったからといって、人はついてこないし、理想を追い求めてもそもそも理想なんてものは存在しない、可愛い女の子を集めたハーレムも実際はドロドロで常に臨界点で迂闊に手もだせない、そういう話を描く所に好感が持てました。

 キャラの話をしましょう。今作はやっぱり歴代ウォルト家の面々が魅力的でしたね。3代目、5代目は登場期間も長かったこともあり、すごい好きなキャラ達でした。困った時にはいろんな助言をくれる、強い当主たちは本当にカッコよかった。嫁に弱いなど少し抜けているところも微笑ましいです。6代目の修羅場は最後まで笑いましたし(まさか6代目がネタキャラになるとは)、妻が一番多い5代目が一番まともな夫婦生活送ってるっぽいのも面白いです。

 また勿論ヒロイン達も可愛かったです。個人的一番は、なんだかんだ言ってもノウェムですね。最終章の女神や邪神の記憶を消されたノウェムが本当に可愛かった。1話から最後の最後まで感情を失ったヒロインでハーレム推奨!とかやってたのに、急に感情を取り戻して私以外を見ないで欲しい、私あなたと彼女達を殺してしまうかもしれないって言い出した所がほんと好きでした。冷静に、こいつ何言ってんだ?・・・って所もありますが、だがそこがいい!

 最終章の「私がライエル様の一番だ。お前らは全員仲良く、二番目の椅子を取り合っていろ」は最高に好きですね。好きすぎてそのシーンだけ何度も読んでしまいます。お前が言うかそれ?っていう。作中でもちらっと言ってましたけど、結局【セブンス】のストーリーってノウェムの盛大なマッチポンプですよね。成長するライエルを見たかったから、怪物になったセレスを放置して、弱ったライエルを支えながら仲間を増やしつつ、全世界を巻き込んで大戦を起こした末に、痴話喧嘩っていう。なんて迷惑なやつだノウェムちゃん、だがそれがいい

 そのほかだとやっぱりシャノンとヴェラでしょうか。あの辺りは普通に可愛いですよね。シャノンは最初の登場からは想像もつかない駄目さが可愛かったし、ヴェラは純粋に癒しでしたね。アリアも癒し枠なんですけど、彼女強いですからね。

 通して、【セブンス】も前回感想書いた【乙モブ】と同様に、しっかり構成が練ってあり、読んでいて安心してました。ああこれ終わるなって言うのが分かると読む気になりますよね。

 ただ【乙モブ】と違って初速が弱かったです。初期の作品だからって言うのもありますよね。最初にも書きましたが、100話ぐらいまではウォルト家の麒麟児(大爆笑)のライエル君が貧弱すぎて、話の展開が微妙でした。ストーリ―の中で主人公の成長を対比させるために、わざと弱い状態を続けたのだとは思いますが、その期間が少し長かったかな?とも思います。多分「これは面白い作品だ」と聞いていなければやめてたかもしれません。ただセレスと再会して、ベイム入りしてからの大戦は本当に面白く、年甲斐もなくワクワクしました。

 どうやらコミカライズもするようで、どうなるか楽しみですね!時間があれば書籍版も読んでみたいと思います(完結してたらすぐに買うんですが・・・)。

セブンス 1 (ヒーロー文庫)

セブンス 1 (ヒーロー文庫)

 

  というわけで今回はこの辺で、ではでは。