マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【ノエルちゃんヤリ捨て事件被害者の会】メモリーズオフ-Innocent Fille- 感想【ネタバレ注意】

 『一番好きなギャルゲーは何ですか?』

 今まで10数年、色々なギャルゲーをプレイしてきて、面白い作品は沢山ありました。しかしあえて一番好きなギャルゲーを上げるとしたら――私をこの世界に引き込んだ”想い”出であり元凶の作品『メモリーズオフ』シリーズと答えるでしょう

 今回はこの『メモリーズオフ』最終作『メモリーズオフ-Innocent Fille-』を発売から2年経ちましたがトロコンしたので感想の方を書いていきたいと思います。

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変わってしまったあの子

 実を言えば、私はこのゲームをプレイするのが怖かった。それはサスペンス的な要素が含まれているから――というわけではなく、私の想い出の中のメモオフが素晴らし過ぎて、そのイメージが壊れるのが怖かったんです。

 『メモリーズオフ』シリーズは、6から少し毛色が変わり、ゆびきりの記憶から明らかに方針転換したように私は感じていました。バイオレンス展開やドロドロとした人間関係を全面に押し出した広告を見て、確かにそれはメモオフの一つの要素ではあるけれども、それがメモオフの良さではないと思い、ゆびきりの記憶は購入したもののプレイしていませんでした。私が好きなメモオフは記号化されていない”自然”なキャラクター達が織りなすストーリーなんです。皆が他者を思いやって動いているのにうまくいかなかったり、些細なすれ違いからどうしようもない選択を迫られたり、そんな話が好きでした。

 さて、メモオフIFについても同様の広告がうたれていましたね。RAINシステムなどはメモオフのシリアス要素を全面的に押し出したシステムだと思います。正直私はこの売り文句を見てかなり不安になりました。そのため購入してから2年も放置してたわけですが、いつの間にかPC版も出ていたし、やはり最終作ということで気になって今回プレイしました。結果としては、私の不安は半分的中してしまいましたね

メモオフIF総評

 前置きが長くなりましたが、プレイ後の感想です。

 ラスト直前までは間違いなく『メモリーズオフ』でとても満足していました。ノエルちゃんは圧倒的なヒロイン力を見せ最高に可愛かったですし、扱うテーマもいじめ問題や精神疾患と重い問題が多かったものの、(いじめの実行犯の二人組を除いて)皆が互いのことをはじめは思いやりながらもどうしようもなくなってしまう展開は自然で、重い話でありながらもどこか優しさを感じられるようなストーリーは私の好みでした。また二転三転していく話は予想がつかず、ミステリ小説を読むような楽しみがありましたね。ちょこちょこ出て来る過去作ヒロイン達もファンとしては嬉しかったです。いのりちゃんのなぞなぞターイ・・・は久しぶりに聞いても可愛いかった。

 しかし、ラストの展開、春・冬エンドは、私が思い描いていた『メモリーズオフ』ではありませんでした。というかメモオフとか抜きにしても、ラストの展開には言いたいことが山ほどあります。驚きの展開を越えて超展開であるし、超展開の先になんとも奥歯に物が挟まったような終わりと、どういう意図を持ってこうなったのか小一時間問い詰めたくなりますね。超展開なら超展開でせめて感動させてくれ、泣かせてくれと声を大にして言いたい。

 メモオフとは?

 じゃあお前、メモリーズオフってなんだよって言う話しなんですが、これはシリーズのテーマを考えるのが一番分かりやすいと思います。

 メモリーズオフ』のシリーズを通してのテーマは、過去=雨を乗り越えるために、現在のヒロインor主人公=傘をさして未来に歩いていくことだと思います。ノエルルートであれば、共に周りに馴染めないという似た境遇のノエルとの出会いを通して、過去を乗り越えていくという話だし、寿奈桜ルートであれば主人公に並び立つために弱い自分を変えていくという話だし、柚莉ルートであれば琴莉という過去を乗り越えて、今いる柚莉と未来を生きていくというまさにメモオフらしい話だったと言えます。じゃあメモオフIFのグランドである春・冬エンドはどうだったかというと、この仕組みが破壊されてるんですよね。

主人公の罪の喪失

 主人公の累は「琴莉を守れず、自分だけが生き延びてしまった」という罪の意識を持った少年です。春・冬エンドはそれが真相が解明されていき、「琴莉を助けるために、彼女の父親を殴り結果として殺してしまったこと」に変化します。そして最終的には琴莉の父親の死因は希莉がナイフで刺したからということがわかるわけで、つまり彼の罪が丸ごと消えるわけですよね。だから彼は過去を乗り越えたわけじゃない。雨は勘違いだった。じゃあヒロインの瑞羽に越えるべき過去があったかと言われれば、そんなこともない。ここが私がラストの展開がメモオフぽくないと思った最大のポイントです。

存在しないノエルTRUE

 そして春エンドがノエルと瑞羽のダブルエンドだったということも違和感を感じたところでした。単純に私がノエルちゃんが滅茶苦茶好きなので、ノエルTRUEエンドみたいなのが欲しかったということは勿論ありますが、メモオフの主張として過去を乗り越えて未来を歩むというものがあるわけで、過去の女である瑞羽を振り切って、今大切なノエルを選ぶというエンドがあってもいいと思うのです。というかヤリ捨てはあかんで累くん。想君のように二つTRUEを用意してくれれば私のこのやりきれない気持ちは半分ぐらい救われたはずです。

メモオフ界での最強の存在

 ただこうなった理由も分かります。瑞羽の存在はズルですよね。今まで『メモリーズオフ』シリーズでは、死んだ人達は最強の敵として扱われてきました。1stの彩花をはじめ、想君のテンチョー、とぎれたフィルムの雄介、三木さんなどなど。想い出は時間が経つにつれて美化され続け、今生きている人が勝つことなどできないという主張だったと記憶しています。だから死んだはずの初恋の人琴里が生きていたという設定はメモオフでは最強ですよね。そういう意味では今までの流れをくみ取ったEDだったのかとも取れます。

 しかしそれにしたってもう少し瑞羽の掘り下げをしても良かったと思います。想い出は美化されるもので現在とは違うはずで、実際、日紫喜瑞羽と記憶の琴里につながりはありませんでした。でも正体を明かしたと同時に瑞羽は急に琴里になるんですよね。ノエルちゃんの誕生日プレゼントに竹刀をプレゼントしようとする人が、いきなり累ちゃん・・・ってしおらしくなるの違和感ありません?

ノエルちゃんヤリ捨て事件被害者の会

 日紫喜さんと琴里がつながらないから、累がノエルを捨てて琴里を選ぶというエンドに違和感があるのです。久世さんが殺されるまでずっとノエルと甘い日々を過ごしてきたわけじゃないですか、BADエンドで散々殺されてきたわけじゃないですか、それなのにぽっと初恋の人が出て来て全て奪ってくってどうなのよ?と思うわけです。日紫喜さんとの繋がりがあって累君がなんとなく日紫喜さんに惹かれていて――というなら分かるんですが、そういうわけではなかった。まあ初恋の人に久しぶりに再会したからと言って婚約者も社会的地位も捨てて初恋の女性に走った主人公もいたことですし、初恋は呪いなんでしょうけど、それならそれでそういう心理描写をもっと入れて欲しかった。

 そもそも何故累が琴里のことをこんなにも執着していたのかと言えば、琴里を火事で守れなかったからという罪の意識からですよね。真相を知った以上、生きてて良かったという気持ちはあれ、好きだ!とはならなくないでしょうか?大体が一度琴莉と決別したところで気持ちの整理はついてるのだろと言いたい。柚莉ルートはそれでも琴莉を忘れられなかったから会い続けたというルートであり、あの場面で決別できたのならば琴里がいざ現れてもそこまで惹かれることはないはずです。実際、瑞羽が琴里だと告白した際、極めて累は冷静だったように見えます。生きていたことに嬉しいという気持ちはあったと思いましたが、色恋とは別の気持ちだったのではないでしょうか。

 また、ノエルが「累さんは琴里さんのことを裏切れないことを知っています」と言っていましたけど、それはおかしい。客観的に見て真相解明後の琴里は累のことが今でも好きな初恋の女の子に過ぎず、それを裏切れないと言うならば、累君のことが好きで好きでしょうがないノエルちゃんを裏切ることはできないでしょう。だから冬エンドはただの同情に見えるんですよね。ノエルは光の中に生きているからいいけど、リーチも柚莉も奪ってしまって独りぼっちな琴里は可愛そうだから一緒にいるみたいに思えるのです。ある意味寿奈桜ルートと同じですね。もしかしたらそれが正解なのかもしれませんが、そのエンドにして我々にどう思って欲しかったのかが分からないです。

リーチとシャイロック

 と、ここまで色々講釈かましてきたわけですが、何よりも春・冬エンド最大の問題点はリーチと柚莉が救われないということに尽きると思います

 最後のリーチのセリフ『ベニスの商人』から、ライターはラストのシーンを通して過去との決別を描きたかったんじゃないかと考えています。ベニスの商人の高利貸しシャイロックの境遇とリーチの境遇は似通っていますね。作中、シャイロックは裁判に敗れ命の支えである金を奪われ、娘には逃げられ、そして改宗させられます。リーチでいえば金は琴里であり、娘は柚莉だったのでしょう、そして累に改心しろと迫られる。リーチはこのベニスの商人シャイロックのすべてを奪い改宗までさせる様を、主役側の傲慢だと考えていたのではないでしょうか。だから最後の台詞『ベニスの商人』は、お前何様だ?の意であり、これは累との決別を指しているのでしょう。しかし、過去との決別っていうけどリーチや柚莉の存在を捨てることがグランドなのかと問いたい。リーチや柚莉が明らかに悪側の存在であれば、その展開も悪くないですが、Twinルートで散々仲良くやってきたあとにこれはむごくないですかね?

舞台装置から逸脱できなかった希莉

 そもそも希莉の存在は必要だったのかという疑問があります。物語を劇的にするための装置にしか見えないんですよね。希莉がいなくて久世さんが殺されてさえいなければいくらでも何とでもなったでしょう(というか久世さんは殺されてしまうほど悪だったか?)。それか、久世さんと早めに分かり合って、リーチの暴走を止めた後瑞羽と繋がるというエンドがあっても良かったと思うわけです。柚莉ルートで、DIDの症状を回復させるためには琴莉を受け入れることが必要だという情報をプレイヤーは手に入れています。春・冬エンドは柚莉ルートが前提条件になっているわけですから、この知識も使いつつグランドフィナーレに導いてほしかったというのが私の率直な思いです。

ノエルちゃんが最高な話

 では、一通り文句を言ったところで良かった点について少し語っていきましょう。

 メモオフIFで一番良かった点はノエルちゃんが圧倒的に可愛かったことですね。ギャルゲーにありがちな記号的な可愛さではなくて、素朴な可愛さが良かったです。見た目が好みなのは勿論なのですが、累とのやり取りが凄く好きなんですよね。累もノエルも口数が多いキャラではありませんが、言葉を多く交わさなくても通じ合ってるというのが伝わってきて見ているこっちもほっこりしました。ただほほ笑んでいるだけで、好きだという気持ちが伝わってくるのが、もう可愛すぎますね。そしてそんなノエルちゃんがシーツ一枚で誘ってくるんですよ?こんなん断れる奴おらんやろって変な関西弁になりながら突っ込んでました。こんなヒロインと比べられてしまう寿奈桜ちゃんは本気で不憫に思います。

うまく歯車がかみ合った柚莉ルート

 シナリオとしては柚莉ルートが好きでしたね。二重人格との三角関係と言ってしまえば簡単ですが、そこには累君の初恋との関係があったり、実は琴莉自身も柚莉の願望から生まれていて彼女の一部だったりと複雑な関係が入り混じりながらも綺麗に終わらせているのに感動しました。ダブルルートはあるけど琴莉ルートはないというのが物語の主張ともあっていますね。琴莉はあくまで柚莉であり琴莉じゃない、だからこそ一つに統合できたのだという。最後サスペンス要素もありましたが、ルートの雰囲気が壊れない程度で個人的には満足いくルートでした。

パワポケを思い出すRAINシステム

 システム面もRAINシステムは正直どうかなとはじめは思っていたのですが、時間制限つき選択肢というのが演出の幅を広げているように感じ、好印象でした。選ばないのが正解とかパワポケを思い出して懐かしい気持ちになりましたね。

 終わりに

 さて、時は2020年、最早純粋な選択式のギャルゲー、しかもエロなしというのは絶滅危惧種ですね。そして、あまり最近のギャルゲーを沢山やっているわけではないですが、ここのところエンタメ寄りのギャルゲーがウケているように感じます。ノラとととかぬきたしとか、9-nine-もどっちかといえばそっちよりですよね。

 そんな中ではメモオフも変わらざるを得なかった、ということは分かります。しかし、7年振りにこの作品を出したからには、ラストメモリーズと名を打つからには安っぽいホラーサスペンスに逃げずに、ほろ苦い純愛劇を貫き通してほしかった、私はそう思ってしまいます。

 と、ここまでメタクソに書いてきましたけど、ラストの展開を除けばメモオフIFは名作になり得た作品だったと思います。ファンサービスも一杯ありましたし、結構満足感もありますね。警告劇場のごきげんようオチを久しぶりに見れて本当に嬉しかったです。それだけに、それだけにあともう一歩頑張ってくれれば、と残念な気持ちで一杯です。

 私がこう思ってしまうのは、もしかしなくても『メモリーズオフ』の想い出を美化しすぎているのでしょう。実は私も冬エンドの累くんと同じく、ノエルじゃなくて琴里を選んでしまっている――ということなのかもしれませんね。

【全ての若者へのエール】ATRI-My Dear Moments-感想【ネタバレ注意】

――地球に私も含まれますか?

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 『ATRI-My Dear Moments-』プレイしました。透き通るような青を基調としたCGがとても綺麗で、滅びゆく世界の中でもどこか暖かい町の住人達もあいまって、雰囲気が素晴らしく良いゲームでしたね。『9-nine-』もそうでしたけど最近はロープラのクオリティが高くて驚きます。こういうメインシナリオが一番大事だというギャルゲーは間延びしがちであることも多いので、意外とロープラとの相性はいいのかもしれません。個人的にもまとまった時間が段々取れなくなってきましたので、10時間ぐらいで終わるロープラの良作がドンドン出てくれるのは嬉しい限りです。

 プレイしての感想ですが、『ATRI』は割と使い古されたテーマを用いており、目新しさを感じることは少なかったですね。しかし、TRUE ENDまで最後まで上がり続けて一番良い終わり方をした作品でした。通常のグッドエンドでも十分良い終わりだと思いましたが、CGが足りないからまさかと思いバッドエンドを回収したのちに、TRUEENDが出た時はテンション上がりましたね。別れの美学というのは勿論あると思いますが、それじゃあやっぱり寂しいから、例えご都合だと言われようとも、本作のような最後に再会して終わるハッピーエンドが私は大好きですね。

ドン底からのスタート

 ストーリーのはじめはナツもキャサリンも住民たちもドン底からはじまるんですよね。足を失って、夢を失って、希望を失って、退廃的な空気が流れる中、ナツはアトリに出会います。そこから先生がいない学校で先生の代わりに勉強を教えて、発電機を作って学校に光を灯してと、少しずつ良くなっていく中で、ナツもキャサリンも住民たちも救われていきます。この”少しずつ”というのが良いんですよね。海面上昇で都市が沈んでしまったというのは大きすぎる問題です。これをはなから解決しようとするのは難しいし、それで諦めてしまったのがアカデミー時代のナツ君でした。”少しずつ”歩んでいったから、エデンの存在を見つけ、町に光を灯し、エデンを元に人工フロートを作り上げるまでに至ったナツの行動が胸にスッと落ちました。

支え合いの大切さを説いた物語

 また『ATRI』は人と支え合う大切さをうまく描いていますね。人と支え合うことが大切なんて言うのは当たり前すぎて、今の時代口に出すのは少し恥ずかしいぐらいだと思います。しかし、どれぐらいの人が自分が支えられて生きているという認識があるでしょう?

 現代の日本ではライフラインがあるのは当たり前であり、食料を手に入れることができるのは当たり前であり、ネットでワンクリックすれば欲しいものが届くのが当たり前になってきています。そんな中、自分が人の支えの上に生きているという意識は薄れ、独りで何でもできるなどと思いこんでいる人も増えてきているように感じます。

 アカデミー時代のナツはその典型で、完璧な義足をつけ、優秀な頭脳と大きな夢を持ち、自分の力だけでなんでもできると思い込んでいました。しかしナツは当然あるはずだった親の支援がなくなったことにより一気に落ちぶれ故郷へ逃げるように帰ります。そんなナツ君も右足の欠損からアトリの存在を受け入れ人を頼ることができるようになり、学校の友達と発電機を協力して作り、住民の希望を照らすことができたことで、人と協力することの大切さに気が付きます。ただ人と支え合うのは大切だと言われても表層の理解にとどまるだけですが、『ATRI』はいろいろな当たり前が欠けた世界でこれを描くことで、改めて人と支えあう大切さを強く伝えることができたのではないでしょうか。

可愛いアトリ

 少しキャラの話をしましょう。アトリは色々な顔を見せてくれて凄く可愛かったですね。私達が愛らしいと思うように仕向けた明るいアトリ、ロボットのふりをしたアトリ、感情を認識して照れるアトリ、全てが可愛く、一粒で二度、三度おいしいキャラでした。アトリの奥歯を磨いてあげるシーンが何度も入るのですが、それがいちいち可愛く、変な性癖に目覚めそうになったのが恐ろしいです。

 そして最初にも書きましたけど、CGが物凄く綺麗なんですよね。今まで10年以上ギャルゲーをやってきた中で一番良かったと言えるかもしれません。海の中でキスをするCGを見た瞬間私の心は奪われましたし、夕暮れの中で笑いかけてくるアトリのCGは可愛らしいのに綺麗で、エデンで鳥たちに群がれるアトリのCGは額縁に飾っておきたいぐらい良かったです。シナリオとか他のいろんなもの全部おいておいてCGだけで2000円以上の価値があると断言できますね。

全ての若者へのエール

 話をシナリオの話に戻して、『ATRI』は夢を持つこと、未来に生きることを強く主張していましたね。この対極となる存在として作中ではヤスダが悪役として登場します。

 作中悪役として登場したヤスダと夏生は似たところを持っていました。科学的見地からロボットに心は生まれないのだからアトリは不良品であるとするヤスダ、科学的見地から地球は救えないと考えた夏生。お互いアトリが実際感情を持っていることや、メガフロートエデンの存在によりその見地を否定されています。

 科学的見地から論理的に物事を考えていくことは勿論重要なことだといえます。現代社会はこの価値観から隆盛したといっても過言ではないでしょう。しかし、私達はこの科学的見地というのは”現代”の科学技術を基にした見地であることを忘れてはいけないのだと思います。

 科学はあくまで”過去”の事象を基にした仮説であり、未来のことは誰にも分からないのでしょう。だからといって科学を軽視しろと言っているわけではなく、『ATRI』は過去に囚われることなく夢を見ていいと言っているのだと思います。

 この情報時代、ネットを通じて私たちは必要な情報を簡単に得ることができます。これは便利である一方、若者にとっては不幸な側面を持ち合わせているでしょう。ネットでは様々な情報を手に入れることができる反面、想像の余地も減ってきているのではないでしょうか。本来もっと自由でいいんですよね、夏生の祖母が海面上昇の対策として、海面上昇そのものをどうにかすることでなくメガフロートを作ったように。温暖化を止めるためにはどうする?じゃなくてもっと別のアプローチがあっても良いのです。もっともこれぐらい考える人は一杯いるとは思いますが、大事なのはどんな夢を持ってもいいということ、『ATRI』は全ての若者に対してエールを送っているのではないでしょうか

終わりに

 『ATRI』は最近のエンタメ要素が強いギャルゲー界では異色の作品になると思います。腹を抱えて笑ったり、可愛さに悶えるような作品ではありませんでしたが、シナリオ・CG・演出全ての調和がとれており、アトリと過ごした45日は楽しく、My Dear Moments——まさに私の心にどこか残るような良作でした。

【9-nine-】ヒロインとアーティファクトの関連性についての考察

 今回も『9-nine-』についての考察記事になります。テーマは、ヒロインとアーティファクト(AF)の関連性についてですね。所謂妄想記事ってやつです。

 前回記事にて、希亜が【ジ・オーダー】を手に入れたのは、罪を犯した人間を許さないという根源的な欲求と合致したからではないかということをチラッと書きました。そこで他のヒロインについても実は個人の抱えている問題と選ばれたAFとの間に関係性があるのでは?と思い考えてみました。

 まず一番分かり易いとこで春風の【エデン】ですね。【エデン】の能力は『理想を現実にする能力』でしたね。
 【はるいろ】のストーリーから、春風の抱えていた問題は、小学生の頃に虐めにあったことによる自己の過小評価と言えるでしょう。そしてそれが転じて二次元をはじめとした空想の世界に浸るようになり、白馬の王子様を待っている痛い子へと成長しました。よって彼女の欲求は空想の現実化と言い換えることができ、これは【エデン】の能力と一致するでしょう。

 次にちょっとこじつけくさいですけど天のAFについてです。天のAFの能力は『存在感の操作』でしたね。
 では天の抱えていた問題はなんだったでしょうか。【そらいろ】のストーリーから、天は実兄である翔のことが好きで仕方がなかったが、社会倫理の観点からその気持ちを隠そうとしていたことが分かっています。またそれと反対の気持ちとして翔に自分を一人の女としてみて欲しいから様々なアプローチをしていましたね。よってこれらから気持ちを隠す=存在感を減らす、自分をアピールする=存在感を増やすと読み取れなくもないです。つまり、この相反する二つの気持ちを表現したものが。存在感の操作のAFということなのではないでしょうか(きつくなってきた)。

 最後に都についてです。都のAF能力は『相手の所有物を奪う』能力とされていましたが、一度奪ったものを返せることから、翔も言う通り『相手の力を借りる』能力と考えることもできるでしょう。
 では都の抱えていた問題は何か?って話なんですが、思い返してみると都は特に悩みを持っていなさそうです。ただ彼女の行動原理を考えてみると繋がりそうですね。
 まず彼女は正義感が強い少女であると【ここのつ】から読み取れると思います。ただ彼女の正義感というのは、尊敬する祖父が作った家訓や、我が身を顧みず炎の中に突っ込んで問題を解決した翔への尊敬から来た”借り物”の思いでは?とも考えることもできます。彼女の本質は真面目さであり、その真面目さから”借り”てきた正義感を貫いているだけなのではないでしょうか。よって彼女の問題はアイデンティティの無さに起因する他者依存にあると言い換えられるでしょう。
 他者依存=誰かの力を借りて存在するということですので、都のAFも彼女にぴったりであったと言えるのではないでしょうか?・・・・・・ちょっと厳しいですかね。

 

 あとヒロインではありませんが、蓮夜の【闇鴉】はどうでしょう。【闇鴉】は『断ち切る』能力でした。腐れ縁を大切にしていた蓮夜と『断ち切る』能力というのは結びつき辛いですが、与一の作り出す負の連鎖を断ち切りたいという想いの発露だとも取れます。

 さて、いかがだったでしょうか。どうやらAFの選定のされ方は、選ばれたものの心の問題に起因していると言えそうです。空間転移するAFを持ってた学生?異世界に転生したいとかいう願望を持っていたんじゃないですかね(適当)。

 AF関連については何故学生ばかりがAFユーザーに選ばれたのかとか、何故1000年前と比べてAFユーザーの暴走が少ないのかとか疑問もいくらか残ってますので、次回作(はいつになるかわかりませんが)を楽しみにしたいところですね。というわけで、今回はここまでと致します。ではでは。

【罪を抱えた二人の物語】9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと 感想・考察【ネタバレ注意】

 ぱれっとさんの『9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと』クリアしましたので感想等、今回は書いていきます。

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 月並な言葉になってしまう自分の語彙力が憎いのですが、もう滅茶苦茶面白かったです。魅力的なキャラクター、物語の巧さ、熱い展開、演出どれをとっても素晴らしく、ここ数日夢中になってプレイしていた4部作のラストを飾る作品として文句などつけようのない名作でした。

 ここから遠慮なくネタバレするので、注意。

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9-nine- はるいろはるこいはるのかぜ 備忘録・感想【ネタバレ注意】

 今回も前回に引き続きぱれっとさんの『9-nine-はるいろはるこいはるのかぜ』の備忘録兼感想を残して行きます。

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このCG好き

 お話としては一先ずの大団円を迎えたという所でしょうか。少なくともこの枝では幸せな日々が続くようで、やっとここまでたどり着いたなぁと感無量です。ここから更に上がっていくのか楽しみで眠れませんね!

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