マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【罪を抱えた二人の物語】9-nine- ゆきいろゆきはなゆきのあと 感想・考察【ネタバレ注意】

 ぱれっとさんの『9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと』クリアしましたので感想等、今回は書いていきます。

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 月並な言葉になってしまう自分の語彙力が憎いのですが、もう滅茶苦茶面白かったです。魅力的なキャラクター、物語の巧さ、熱い展開、演出どれをとっても素晴らしく、ここ数日夢中になってプレイしていた4部作のラストを飾る作品として文句などつけようのない名作でした。

 ここから遠慮なくネタバレするので、注意。

 

 

 

登場人物全員が躍動する物語

 まず、登場するどのキャラも本当に魅力的でした。ヒロインが可愛いのはまあ当たり前としても、ヒロイン以外のキャラも一癖も二癖もあっていい味を出しています。しかも全員に役割があって、有機的に絡み合い、展開していく物語は感嘆の一言では表しきれません

 ヒロイン'sについて、都、天、春風については前回までの備忘録に残したので割愛として、最初は今作ヒロインの希亜とその物語について語っていければと思います。

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3部作分溜めたデレを解放したことにより、人をキュン死させれるようになった希亜

 今作メインの希亜は、今までのツンケン振りが嘘のように崩れて滅茶かわでした。3部作分ためてからのデレですからね、威力が桁違いで人を殺せます。正直今までそんなに好きなキャラではなかったのですが、180度評価が変わりましたね。紅茶が実は嫌いとか、幽霊が怖くて、ホラー映画にびびっちゃうとこ(これはちょっと理由が重いですが)とか、女性扱いされていないと思ってTシャツ一枚で翔の部屋でくつろいじゃうとか、ドンドン可愛いところが見つかってドンドン好きになれました。後、台詞がいちいち可愛らしいですね。最後の『私も愛してる~』は言い方も含めて、最高でした。お気に入りボイスをまとめて順番に聞きたいので、ぜひ完全版を出す際はお気に入りボイス機能をゆずソフトからもらってきてください、ぱれっとさん

f:id:saijunior2002:20200615190358p:plain他の枝で天とHしてたことに気づいたときの希亜の反応好き

罪の意識を抱えた二人の物語

 希亜は可愛いだけではなく、これまでのヒロインの中で一番重い過去を持ったキャラでしたね。飲酒運転により妹を失ったことからルールを守らない人間を憎んでおり、また妹を助けられなかった罪の意識から、せめて妹が好きだった正義のヒーローのように振る舞うことを自分に課しています。
 希亜が自分が罪だと思った存在に罰を与える【ジ・オーダー】に選ばれているのも納得できます。罪を犯した存在に罰を与えるのではなく、”自分が”罪を犯したと思った存在に罰を与えるという所が、希亜の置かれている状況を明確に表していたのではないでしょうか?

 一方で、『ゆきいろ』の翔もまた、他の枝のヒロイン達の死の記憶をオーバーロードで植え付けられたことにより、強い正義の意識に目覚めています。『ここのつ』のときの翔はどこか他人の死には無関心なところがありましたが、章を追うごとに正義感が強くなっていき、『ゆきいろ』では、もう誰の死ぬところも見たくないというまでに至っています。これは記憶を継承している自分がうまくやれなかったから、ヒロイン達を殺してしまったという罪の意識からくるものじゃないでしょうか。

翔「うまくいかなかった枝の方が多い。もっとうまくできていれば・・・・・・ってさ。後悔だらけだ」

 ラストバトルでの言葉が印象的です。翔くんは全部一人でなんとかしようとしてるんですよね、終始。第3者視点から見れば、イーリスが巨悪なのは間違いないですけど、翔くんが悪いわけじゃない。少ない力で最大限の結果を出している翔くんはむしろ評価されるべきなのですが、本人は時間を巻き戻すという強い力を所持したことにより思い悩んでしまっているようにみえます。

 希亜と翔はこの罪の意識から正義に囚われているという点で惹かれ合ったのだと思います。そういう意味で4部作目『ゆきいろ』のヒロインが希亜であるのは必然といえるでしょう。

罪の意識からの解放とその先

 さて、希亜は翔との交流を通して、罪の意識から解放されていきます。この際見せた素面の姿が可愛すぎるのは前述したとおりだとして、ここで問題なのは希亜が罪の意識から解放された後も、翔は罪に囚われ続けているということです。

 この罪の意識は一度リセットするしかありませんでした。ラストバトルの後、翔はもう一人の翔にイーリスを倒した以外の記憶を消すよう頼んだのが印象的です。本来であれば希亜が翔の罪の意識を消す役割を背負っていたはずが、与一により希亜が執拗に殺されてしまうため、翔は行き着くところまでいかなければならなくなってしまった。だからもう記憶を消してなかったことにするしかなくなってしまったというわけです。

 全てが終わって戻った後、希亜と翔は、ともに罪の意識から解放されたことで真の意味でつながることになります。最後の白いワンピースを着て、笑顔で振り向く希亜のCGは象徴的です。もう黒の自分を偽った服を着なくてもいい、真っ白な気持ちで二人で歩んでいけるーそんなことを感じられる素晴らしい終わりでした。見ているこちらも笑顔になっちゃいましたね。

魅力的なサブキャラ達-蓮夜

 と、希亜ちゃんについて長々と語ってしまいましたが、サブキャラ達も9-nine-は魅力的でしたね。

 ヒロイン以外で一番好きなキャラクターは蓮夜です。『そらいろ』で初めて出てきた時、誰がここまで彼が活躍することを予想していたでしょうか?『ここのつ』では罪を押し付けられ、『そらいろ』ではただの厨二、『はるいろ』では与一の良い理解者と評価を上げ続けて、『ゆきいろ』で開花しましたね。蓮夜の何が良かったかと言えば、彼の行いに終始ブレがないところでしょう。
 それはキャラを徹底している所から始まり、ある種異常ともとれるほど与一の味方を貫き通したことに表れています。石にされても、殺されても、全ての与一の行動を肯定しました。でもだからこそ、あまりに異質な与一に、私達はどこか人間性を感じることができたのではないでしょうか?
 また、最後の彼の活躍は凄すぎた。スーパー異能力バトルの中、どうみても場違いだった蓮夜が、ここしかない!ってタイミングで決めていくのは鳥肌でした。作中でイーリスをマジで驚かせた唯一の人間と言えるかもしれません。

f:id:saijunior2002:20200614001110p:plainこの後の展開も含めて、この厨二カッコ良すぎる

小物だからこその邪悪ー与一

 与一とイーリスはもうどんな擁護も不可能なほど邪悪でしたね。特に与一は、小物だからこそ邪悪さが増したと感じています。これ所謂、『無敵の人』ですよね。本当に殺すしか対処法なさそうなのがたちが悪い。
 ただ与一自身は最後まで誰かとの価値観の共有を望んでいたように見えて悲しい。与一が翔の心を破壊しに行ったのも、自分の邪魔をさせないためではなく、翔に自分と同じ世界に降りてきてほしかったのではないかとも取れてしまう。だからラストバトルで明らかに心が壊れている翔が未だに自分と同じになっていないことに苛立ったのではないでしょうか。
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 そして実は、与一はヒロインの事を散々殺していますが、色々理由をつけてはいるものの翔のことは一度も殺してないんですよね(*)。最初に石化の能力を使うことを止められたときにも、止めたのが翔だと気づいて使うのをやめています。これが都だったら恐らくそのまま石化させてたような気がします(魔眼を発動させて振り向いたことからも、目撃者を含めて殺そうとしていたことが分かる)。このことからも与一は翔のことを友達だと思っているから、どこかで自分のことを認めて欲しい、理解してほしい、いや理解してくれると信じていたのではないでしょうか。

 また『はるいろ』ではイーリスと敵対してたのも気になるところですよね。『ゆきいろ』でここまでおかしくなったのは、イーリスが上手く与一との価値観の共有を図るように見せたからでしょうか?『はるいろ』では利用されていることにムカついて殴りかかってたようにも見えるし、あまり人の下につくようなタマじゃないと思うんですが。
 与一に関しては、次回作だかFDだかで過去が語られて、大団円ていう感じなのですかね。彼に関しては少し謎が残る終わりだったと思います。

注)*ゴーストは翔のことを殺していたかもしれない。

絶対邪悪なキャラだと思ってごめんなさいーソフィ

 ソフィについては、私は3作目まで終始疑っていたのですが、普通に聖人でした。最後までやってみれば確かに彼女の行動や言動に納得ができます。疑って悪かったソフィ。最後自分のことように翔を自慢するソフィが可愛かったです。

 『ゆきいろ』は罪の意識を抱えた二人の物語だと上で述べましたが、ソフィも罪の意識を抱え、解放された一人でした。自分の弱い心が生み出したイーリスの存在をずっと気にしており、セフィロトを結成したソフィは、自分で作ったルールに雁字搦めになっていたように私には見えました。
 世界をぶっ壊す可能性を秘めているイーリスの存在に対して、ソフィが主人公達にした助力はほんの少しでした。もっと早く第一世代のAFを翔に渡していれば、もっといい未来に変わったかもしれないと思ってしまいます。ただできなかった、自分の過去の罪から他者に危険なAFを渡すのを恐れてしまったのではないでしょうか。
 私は最終戦のあのタイミングで第一世代のAFを翔に渡すことができた理由は、勿論時間が進むにつれて、様々な枝の翔を知っているソフィが統合され、翔を信頼できるようになったとか、貸出の申請に時間がかかったとかそういう見方もできるのですが、ソフィが罪の意識と向き合う覚悟ができたからだと思っています。

 彼女は死ぬつもりで全ての枝のイーリスをつなげますが、ジ・オーダーの采配により生き永らえます。これは『ゆきいろ』の話を象徴したシーンだと私は思います。何故なら、希亜も翔もソフィも自分が悪いと思っているだけで、第3者から見たら全然悪くないのです。だからこのジ・オーダーの采配は全ての彼らの罪を許すということを暗示していたように見えます。このプロセスを踏むことで、やっと幸せな未来へ歩き出せるのでしょう。

圧倒的な熱量を持ったラストバトル

 ここまで『ゆきいろ』はキャラクターやそれにまつわるお話について書いてきたわけですが、やはり一番印象に残るであろうラストバトルの展開については外せません
 このラストバトルは圧倒的な熱量を持っていたわけですがが、ここまでインパクトがあった理由はいくつか考えられます。例えば、死んでしまったヒロイン達を召喚して敵に挑んだこととか、主人公がアーティファクトを自在に使いこなして与一を圧倒したこととかですね。ただ、それだけではないと私は考えます。

 9-nine-は話が本当によく練り込まれていて、ぱっと思いつくだけで選択肢によるナイン(=プレイヤー)の示唆、取り込まれた世界の眼の欠片、眷属化とヒロイン達とのセックス、幻体によるコスプレ衣装の作成と最終決戦のヒロイン’sの召喚などなど、驚くほど綺麗に物語が繋がっていることがわかります
 ただ、伏線の回収はある種当然ともいえるでしょう。しかし、この作品はそこで終わらず、伏線の回収が多世界の繋がりををも強く意味しているように見せているところが凄い。最終決戦の翔のセリフが正にこの作品を表しています。

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 すべてが繋がっているからこそ、この台詞が強く印象に残ります。

 『9-nine-』は天ルートの一部を除いてほぼ一本道であるため、私達プレイヤーは何度もBADエンドを強制的に見せられます。でもこれは無駄な枝は一つもないということを示唆していているんだと思います。ここまでの苦労を、積み重ねてきたヒロイン達の死を、この枝での絶望的な状況を見てきたからこそ、上のシーンでの感動がより強くなったのではないでしょうか。

 要するに4部作分の積み重ね、思い出がこの戦いに詰まっているわけですね。ヒロイン達が能力を十全に使うところなどでわけもなく涙が出てきたのは私だけでしょうか。一気に『ここのつ』から『ゆきいろ』までプレイした私ですらこれですから、ここに至るまでに4年かけたプレイヤーは万感の思いだったのでは?

物語を盛り上げる素晴らしい演出

 最後に『9-nine-』は演出も素晴らしかった。偽のEDのところは、「あー中途半端だなぁ・・・完結版がもしかして出るのか?ぱれっと君、分割商法に味を占めたな?」なんて思ってたところで、

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このカットインが入り鳥肌がぶわっと立ちましたね。

 そこからの与一がぼんぼこヒロインを殺戮していくシーンも、効果音がリアルだからこそ悍ましさが伝わってきたし、対称的に直接的な描写が一切ないのにヒロイン達が殺されていくシーンの恐怖が際立ったものになりました。希亜の死体が翔の部屋に置かれているシーンはトラウマものです。でもだからこそ与一という人間の異常性が浮き彫りになったし、最終戦の抑揚のなくなり淡々と与一を殺し続ける翔の行動に説得力がでました。

 また挿入歌の入り、強制オートモード演出が光っていましたね。必ず会いに行くの歌詞の終わりで他の枝に旅立つシーンは印象的でしたし、最後の最後にDear My Wakerはズルいです。歌詞が完璧にシーンにマッチしているんですよね、squallはその悲劇的な状況を歌ったものだし、Dear My wakerはまさに『ゆきいろ』のストーリーを歌っていることが最後のシーンでは分かります。だから今までのことを地の分などなくしても回想させられるんですよね。それが物語を最大限盛り上げるのにつながったのだと思います。
 というか『ゆきいろ』に限らず全作品通してOPEDメッチャいいですよね。歌がいいゲームは神ゲーというのが相場で決まっていますし(ほんまか?)、サウンドモードで歌を聞いているとストーリーを思い出して、暫くニヤニヤできるのがいいですね。AppleMusicで『はるいろ』のOPEDまでは配信されており、最近毎日聞いて電車でニヤニヤしています。

終わりに

 『9-nine-』は今エロゲだからやれることを全部やりきった作品なんじゃないでしょうか。プレイヤーとゲームをつなぐ選択肢、セックスを伏線に組み込んだこと、偽ED、強制オート、バイオレンスな展開、完璧な挿入歌の入りとフルコースでした。また、可愛いキャラクターとの恋愛、楽しい日常と絶望、手に汗握る熱い異能力バトルと全て楽しめてしまうのだから、本作は最高でしたね。

 こんな作品が生まれちゃうんだからまだまだエロゲをやめられません。ライターのかずきふみさんはできる限りラノベ業界に逃げず、エロゲ業界を盛り上げてほしいと思います。ほんと、マジで。

 エピローグのソフィとのやり取りから、FD的なのが出るのかな?と思ってます。思わずラスト見てから何か変わってないか何周も見直してしまいましたよ(特に変化はなかった)。確かに都は唯一ちゃんと救われてないので、沙月ルートとあわせて頼みますよ?ぱれっとさん。

 まだまだ書き足りない所もありますが、今回はこの辺で、ではでは。

 

 

終わりの後に

 今回はこれで終わらないのじゃ。

 一度これ書いた後、批評空間見にいきましたが、概ね好評価でしたね。私はエロゲプレイ後、楽しかった気持ちをなんとなく共有できるので、他のプレイヤーの感想を見に行くのが好きです(その一環でこのブログを書いているわけですが)。その中でいくつかその発想はなかったなとか、ああそういう意見もあるのかというものについてコメントしていこうかと思います。

覚醒後の翔君の行動について

感想要約:オーバーロードという設定を使いきれていないのではないか?もっと色々やれることがあるのに、翔君諦めるのが早すぎる。

 これは結構見受けられた感想ですね。時間跳躍物は試行錯誤してなんぼみたいな所も確かにありますが、敵も時間跳躍能力持ってますからね。時間跳躍VS時間跳躍だと『ネギま』の超戦を思い出しますが、あれと違ってタイムマシン持ってるのが、舞台にいる人間じゃないので(主人公だけでは)倒せないし、アーティファクトを破壊することもできない、魔力切れみたいなのも期待できなさそうだし、状況的にはイーリスがオーバーロード開発した時点でかなり詰んでいたと思います。やれること、あったか?次元を超えてイーリスを倒す手段がジオーダーしかなかった時点でイーリス側は希亜を最速で殺せば全てが終わりますから楽勝すぎる。
 なので、勝つためには希亜をどうにか生存させる必要があったわけですが、サーチ能力と瞬間移動能力を持つイーリス側に対して希亜を生存させておくのは無理でしょう。そのために主人公の因子が入るのを待って別の枝から同調させるっていうのは、これ以上ない1手だったと思います。幻体なら殺しても殺せないですからね。また枝を増やした結果イーリスがオーバーロードを開発して絶望的な状況になったので、あまり試行錯誤するのは危険だと考えたのではないでしょうか。枝からの同調ができることに気づけば逆にイーリスが全ての枝の希亜を殺すみたいな展開になりかねませんしね。
 また罪の意識に囚われた翔君が様々な可能性を試す(=ヒロイン達を無為に死なせる)ような選択肢を取るとは思いにくいので、そういう意味で個人的には違和感ありませんでした。

9人目、ナインの解釈

感想要約:ナインは私達プレイヤーを指しておらず、別次元の翔君を純粋に指している。プレイヤーがナインであれば、もっとドライにオーバロードで巻き戻せると考えていたが、別次元の翔君がナインという話であれば話は変わってくる。翔君の根底にあるのは「仲間の死をこれ以上見たくない」だから、あまり試行錯誤を行わなかったのではないか。(*1)

 これ、確かに言われてみれば、そういう考え方もあるなーと思いました。というか作中でもう一人の翔君って明示しているわけだから、そう考えるのが普通なのですが、完全にプレイヤーを意味しているものだと思い込んでいた自分がいました。そもそも私の豆腐メンタルでは十分心が折れていたので、そういうことを考える土壌がなかったとも言えます。確かにそうであればプレイヤー側から見れば一本道であり、あまりプレイヤーが介入できる要素がなかったとも言えるシナリオへの回答になるかも。そしてともすれば、FDでソフィルートあり得ますね。世界を救ってくれたお礼ということで、次元を渡ってHなことしてくれるお話、ありだと思います。

9-nine-は表現がぬるかったか?

感想要約:ヒロイン達が死ぬ表現があっさりしていて翔君の悲壮感が伝わってこなかった。与一のやり方は手ぬるすぎて小物感が加速している。などなど

 批判的な意見の5割ぐらいはこれでした。確かにハードなエロゲに慣れた批評空間ユーザー的にはぬるい表現なのは間違いないですね。あんま自分がハードな奴を(心が折れるから)やらないのでなんとも言えませんが、有名な『ランスシリーズ』とかで心おりに来るんだったら、ヒロイン達を散々犯した挙句に、翔君の部屋に生首を並べたりしそうですね。書いてるだけで心が折れそうになりました。
 ただこれメーカー『ぱれっと』ですからね。今までのぱれっと作品を考えれば、十分すぎるぐらい頑張ったかなと感じてます。(エロゲですけど)一般的に許容できる最大限度を狙っていたのではないでしょうか。この作品で上書いたみたいなことやったら間違いなくクレーム来たと思います。なんかまとめで自分が書いたことと矛盾しそうですけど。

エンタメ作品の一つの完成形 

感想要約:テーマ性というか、ライターの魂みたいなものを感じなかった。

 これはまあ言い方悪いですけどその通りだと思います。確かに90点台に君臨する作品から放たれる精神を揺さぶるような何かはこの作品からは感じませんでした(ジャンル違うけどWA2プレイしていた時はプレイしていない時も心が歪んでいた)。
 ただ、エンタメ作品(*2)としては100点なんですよね。純粋に全てが高水準で面白い、エロゲ界の優等生的な作品なんだと思います。そして何よりも瞬間最大風速が高いんですよね。有名どころだと『リトルバスターズ!』が瞬間最大風速の高い例の一つですけど、あれほどじゃなくてもラストのシーンは印象深かった。瞬間最大風速が高いお話は分かり易く面白いんですよね。だからこの高評価も頷けると思います。

 というわけで、今度こそ〆たいと思います。ではでは。

 

*1 https://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=28639&uid=trump

*2 ここでいうエンタメ作品とは、純粋に娯楽としての面白さを追求した作品のことを指す。