マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

真白ちゃんをひたすら愛でる――あおかなEX1感想

 更新しなさすぎて遂に広告がでてしまいましたが、今回は待ちに待ったあのゲームのファンディスクが出たので、感想をば書いていきたいと思います。

 

というわけで、今回のお題はこれ

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蒼の彼方のフォーリズムEXTRA1です!

 タイトル画面から滲み出るこの爽やかな感じ、そして左でおっきく主張されてるツインテールの可愛い女の娘・・・そう今回は真白ちゃんのファンディスクですね!

 今作は、人気投票で上位だったキャラがピックアップされていて、EXTRA1では真白、EXTRA2ではみさきメインになるみたいです(明日香…)。

 

 それでは早速、簡単なあらすじ。みさき先輩との試合に勝ったことにより、ちょっぴり自信をつけ、主人公と付き合って、余裕を見せ始めた真白ちゃんですが、よくよく見てみると主人公の周りには魅力的な女の子ばかりいることに気づきます。相対比較するとみさき先輩みたいにスタイルもよくないし、明日香先輩みたいな可愛さも、莉佳のような女子力もありません。あーどうしよー先輩とられちゃうよー><ってところから、話が始まり、真白ちゃんはみんなに手伝ってもらいながら、服に料理にと特訓をしていきます(ここまで主人公空気)。そして、最後に主人公とお泊りデートして・・・という話でした。

 まあ、あらすじ読んでいただければ、察してくださると思いますが、ここ20年ぐらいで親の顔ぐらい見た展開ですね、ここまでテンプレートだとそれはそれで清々しい感じがします。個人的にはもう少しFCやってる描写がほしかった・・・!このゲームFCがすべてなんじゃ・・・FCがないあおかなは魅力8割減なんじゃ・・・

 

と、ここまでちょっと酷評しましたが、良かった点も勿論ありました。

まず一つ目

飯がうまそう

  いやギャルゲーやってて飯がうまそうって、なんだよそれって思われるかと思いますが、それぐらいご飯のCGがいいんですよね。例えば

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 これとか、めっちゃこのうどん美味しそうだし、これならうどん嫌いなみさきでも好きになるわって感じがします。

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 あとこれは、主人公のために真白ちゃんが特訓してデートのために作ったお弁当なんですが、凄い頑張って作ったんだなってことが伝わってきて、見てるこっちまで嬉しくなっちゃいますよね。特にハンバーグとかちょっと成形が下手で崩れそうな感じとか、すごいいいです。完璧なお弁当よりもちょっと下手なぐらいがいいと思うのは私だけですかね?普通のAVよりも素人もののAVのほうがよいみたいな(台無し)。

 これ以外にもスクショ取り忘れてしまったのですが邪神ちゃんクッキーとかもよかったですね。

 

次に2つ目

真白ちゃんと(元)メインヒロイン達の絡みがよい

 今作の売りはこれなんじゃないでしょうか。途中まで本当に主人公がでてこなくて、本当にギャルゲーやってるのか??と疑問に思うぐらいでした。

 莉佳とクッキー作るシーンとか、明日香とデートするシーンとかすごくよかったですね。もう尊いって言う感想しか出てこないぐらいはよかったです。

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ああぁぁあぁぁあぁあぁあああ(浄化)

 

そして、最後に

やっぱり真白ちゃんめっちゃ可愛い

 むしろこれを感じられれば、もうこのゲーム100点かもしれないですが、やっぱり真白ちゃん可愛いです。EXTRAになって、ちょっと幼児化したとこもありましたが可愛いです。

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さすがにきつ・・・なんでもないです

 この作品の爽やかな感じを活かした、デートでのCG達は本当によかった、この作品青の使い方めっちゃうまいんだよ本当に。そのせいで少しエロさが失われてるけど、まあそういうゲームじゃないから(R-18とは?)。CG一枚一枚でキャラの台詞とあいまって、心が洗われるようでした。

 上でエロさが失われてしまったと書きましたが、今回のHシーン3回のうちの家族風呂と浴衣でのHシーンはよかったですね。やっぱり明るいと綺麗さが目立ってしまってエロくないんですが、うすぼんやりとした背景で水が滴るCGはすごく良いです。 まあ最後にとってつけたかのような感じは否めませんでしたが。

 そして、頑張る真白ちゃんが健気で可愛いんですよね。クッキーに綿バチいれて爆弾作っちゃうぐらいの異次元料理人だったのに、主人公のために特訓して、普通のお弁当作れるようになったり、主人公のためにいつもは着ないような可愛らしいワンピースを着てみたり、メイドになってみたりと、こんな彼女がいたら最高だろうなって思わせてくれるぐらい可愛かったです。やっぱり一生懸命努力してる女の娘は可愛いんですよ!

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私もそう思う。

 

というわけで、あおかなEX1感想でした。ちょっと短くて(実質プレイ3時間ぐらい)物足りない所もありましたが、真白ちゃんは可愛く、キャラ同士の絡みも面白く、CGもめちゃくちゃ綺麗だったので、あおかなファンは楽しめるんじゃないでしょうか!

今後のEX2およびTweiも楽しみにまってるので、スプライトさん早くつくってくださいね!

 

マダツボミが選ぶおすすめのギャルゲー5選

お久しぶりです。

最近ポケモンにはまりすぎて全然ギャルゲーできてないマダツボミです。

今回はちょっと趣向を変えましておすすめのギャルゲーを紹介します。

早速行きます。

1.さくらさくら(ハイクオソフト

さくらさくらさくら、ああ君に会いたい

さくらさくら -HARU URARA-(限定版)

さくらさくら -HARU URARA-(限定版)

 

 私がこの記事を書こうと思った原因である神ゲー。久しぶりにプレイし直し、やっぱり最高だわと余韻に浸りながらふと批評空間をみたら、思いの他辛辣な評価を受けていたので驚き、これは紹介せずにはいられないと思い、この記事を書きました。上のリンクは移植版ですが、もちろんPC版をおすすめします。

 三角関係ものですが、WA2のような重い感じはなく、ひたすらコメディチックに話が進んでいき読んでいて非常に楽しいです。主人公がとにかくいい加減で二人のさくらにふらふらするんですが、決めるところはしっかり決める主人公なので好感が持てます。そして何よりもヒロインの菜々子先生が超絶可愛い、ほんま可愛い。ギャルゲーの好きなキャラランキング作るなら確実に3つ指に入るぐらい可愛い。料理得意で可愛くて世話焼きでちょっと嫉妬深くてムチムチのレオタード着ちゃったり、先生なのに制服みたいな服着てる菜々子先生は正直最高です。菜々子先生の「いい加減男!」だけでごはんが3杯ぐらい食べれます。

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 御馳走様です。

  ハイクオソフトは延期の常習犯なので新作は余り期待できませんが、発売済のソフトなら関係ありません。中古もそこそこ安く出回ってる(?)と思うので、是非未プレイの方はプレイして菜々子先生の可愛さを体験してみてください。

2.メモリーズオフシリーズ(KID/サイバーフロント/5pb)

ロマンシングストーリ―、とぎれたフィルムが今

Memories Off #5th とぎれたフィルム (通常版)

Memories Off #5th とぎれたフィルム (通常版)

 

  私をこの道に引きずり込ませた元凶であり、原点であるメモリーズオフ(略してメモオフ)シリーズを次に紹介したいと思います。KIDのゲームシステムはギャルゲー界随一なんて肩書きが昔あったぐらい操作性の高いゲームでした。メモオフは7までシリーズタイトルがでていますが、個人的には5(思い出補正)>2>4>6>1>3>7(未プレイ)の順番で推しています。

 最初は日常パートで明るいが、突如非日常パートへと突入しどろどろしたり、シリアスしたりしていくという今ではよく見かける手法ですが、当時の私がプレイしたときは新鮮で非常に面白かった記憶があります。また物語を通して主人公やヒロインがともに成長していき最後には幸せなキスをしてエンドというのもありふれていますが、メモオフはそこまでの過程を丁寧に描くので読み応えがあります。キャラも可愛いですしね。5の麻尋ちゃんや2のつばめ先生は今でも好きですね(お前また先生じゃねーか)。

 メモオフの中でたびたびテーマにあげられていた、想い出は美化され続けるから現在の我々では到底勝てないですが、まさにこのメモオフは私の中のそれに値するのだと思います。でも2あたりは今でも面白いと思うのでぜひやってみて感想書いてください。

3.天神乱漫ゆずソフト

願いことはいつもいくつもあるけれど

天神乱漫 Happy Go Lucky!!(初回限定版)

天神乱漫 Happy Go Lucky!!(初回限定版)

 

  次は私を裸エプロン好きにさせた思い出のゲームである天神乱漫を紹介したいと思います。このゲームをプレイしてからゆずソフトを好きになり、それ以来最近発売された千恋万花まで全てプレイしていますが、正直シナリオの面白さだけで言えば天神乱漫はそこまででもありません。サノバウィッチのーぶる☆わーくすを推します。

 しかし!しかしですよ!このゲームには他にいない唯一無二のヒロインがいます!

その名も千歳佐奈ちゃん!!!!!

 (てめえもしかしたらロリコンだろ?って読者思ってるだろうけど、最近私も自分がロリコンだということに気づいた)

  この子は凄く可愛いんですね。まず見た目がドストライクなのは置いときまして、普段は賢い子なんだけど、主人公のことになるとあたふたしてポンコツになっちゃうのが可愛いですね。こんななりして主人公をエロで攻めてこようとするその姿勢もとてもいいです。声も天下のアグミオン先生というところがいいですね。そして!何より!佐奈ちゃんの裸エプロンCG・シーンは本当に神です。むりこぶ先生は本当に神です。ありがとうございます。正直このシーンだけでも個人的にはフルプライス払うだけの価値はありました。上では仕様上移植版を載せましたが、PC版を絶対に勧めます。多分ネットさがせば画像転がってるとは思いますが、是非買って確認してみてください。期待外れでも責任は持てません。

 

4.ホワイトアルバム2(Leaf

優しい嘘あなたが最後にくれた、大切な私の宝物だよ

  正直説明不要だとは思いますが、おススメのギャルゲーと言えばこれを紹介しないわけにはいかないなと思ったので紹介します。

 ホワイトアルバム2(WA2)はシナリオCG音楽すべてにおいて完璧でもう言うことはありません。特にシナリオは三角関係を丁寧に丁寧に描いていて、もうそれはWA2をプレイしている間は精神状態が不安定になって日常生活をおくるのに支障をきたすほどでした。WA2をプレイしてしまったせいで他のシリアスゲーが全て陳腐に見えるぐらいの出来でしたので、むしろプレイしない方が色々なゲームを楽しめていいかもしれません、それぐらい完成度が高かった。

 そして勿論ヒロインが可愛いです。出てくるヒロイン全員可愛いんですが、私はやっぱり雪菜派ですね(世の中のWA2ファンは雪菜派とかずさ派に分かれて熾烈な争いを日夜繰り広げている)。めちゃくちゃ可愛くて学園のアイドルっていう設定なのに、この雪菜ちゃんというヒロインはとにかくフラれます。フラれてフラれてフラれて最初ただただ天真爛漫であった彼女が、ちょっと暗いところを見せるようになる描写がたまらなく可愛く愛おしかったです。負け犬系ヒロインとはうまくいったもので、負ければ負けるだけ本当に可愛くなるんですよね、不思議。

  また音楽、特に優しい嘘や時の魔法は今聞いても泣くぐらいいい曲です。他にも名曲揃いで、しかもそれが絶妙なタイミングで入ってくるんだわ、そりゃ泣くよ。ずるいよぉおおおっていいながらクリックしていた記憶があります。

 WA2の唯一の欠点はクソ長いことで、全部プレイし終わるのに100時間ぐらいはかかります。しかし、やって絶対後悔しない作品だと言い切れるので未プレイの方は是非プレイしてみてください。

5.ななついろ☆ドロップスユニゾンシフト

  気づいてほらキラキラ光る星屑のように

  いとうのいぢがエロ描いてる時点で神ゲーなんですが、そんなユニゾンシフトが出しているタイトルの中でも私が一番好きなのが、このななついろ☆ドロップスですね。

 ここまでの私のチョイスからわかった人もいるかもしれませんが、そうです。私はこのゲームのヒロイン秋姫すももちゃんが死ぬほど好きなので5選にいれました。アニメ化もしたためそこそこ以上に有名だとは思いますが、古いゲームですのでやってない方も多いかもしれません。

 先にも述べましたけど、このゲームはすももゲーですので、すももちゃんが好きじゃない人はたぶん楽しめないと思います。小っちゃくていつも必死に頑張るすももちゃんが可愛く、最近の少女漫画よりよっぽど少女漫画しているシナリオは読んでいてきゅんきゅん(死語)します。ただこのゲームPC版だとフローラちゃんという超可愛いキャラを攻略できないという致命的なバグを抱えていますのでPS2版を合わせてプレイしていただくと2度楽しめていいと思います(今でもコンシューマーからの逆輸入待ってますよ!ユニゾンシフトさん!)。

 

 

 というわけで如何だったでしょうか?私と同じ趣味趣向を持っている方なら絶対楽しめる作品たちだと思うので、是非やってみてください。ものによっては入手困難なものもあるかもしれませんが、その辺は許してください。チョイスから年齢がバレそうですね!それでは今回はこの辺で、ここまで読んでくださった方ありがとうございました!

 

スポコンものの最高峰――蒼の彼方のフォーリズム 莉佳・明日香ルート感想

 前回の続きで『蒼の彼方のフォーリズム』の感想書いていきたいと思います。

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 一通りプレイし終わった後の感想としては、ぬほど面白かったんだけど、後もう一声あればもっと最高だったのになっていう感じです。これはサクラノ詩をやった時にも同じようなことを感じました。両方とも続編が出るみたいなので、それに死ぬほど期待しています。

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これぞ、王道ギャルゲ――蒼の彼方のフォーリズム 真白ルート感想

 地雷を踏み抜いてこそギャルゲーマーという言葉もありますが(あるか?)、その昔ういんどみるさんの『色に出でにけり、わが恋は』という地雷を踏み抜いたときに、ああ、これからは事前に評価を調べよう・・・って思ったものです。

 そんな自分が絶対的信頼を置いているのがご存じエロゲ批評空間なわけです。ここで80点以上がついてるギャルゲをやって、あっこれ地雷踏んだわって思ったことは今のとこないです。

というわけで(?)、今回は蒼の彼方のフォーリズムプレイしたので感想書いていきたいと思います。

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タイトル画面からして期待が高まる

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ギャルゲーマーが読む『桜の森の満開の下』

 今回は、坂口安吾著『桜の森の満開の下』の感想を書いていきたいと思います。どうでもいいですけど、桜の森を変換したとき候補の一番上にサクラノ森が来てたらあなたも立派なギャルゲーマーです。(タイトル回収)

 これを読んだきっかけは、森見登美彦著『新訳走れメロス』の中にある、新訳桜の森の満開の下を読んだときに得も知れぬ気持ち悪さと美しさの両方を感じ、原典のほうはどうなんだろうと興味を持ったことにあります。あとサクラノ詩をやったときにそのうち読もうと思っていた作品でもあります。

 ということで100万回は書かれてきたであろうあらすじ。

 昔々とある山に、山賊が住み着いていました。その山賊はエロゲにでてくるようなこてこてのテンプレ山賊で、通りかかった旅人の身ぐるみははがし、気に入った女は自分の女房にしていました。そんな山賊でも怖いものはありました、それは桜の森でした(満開の桜は当時人の木を狂わすと怖がられていた)。

 ある日、いつもと同じように山賊は旅人を襲い、その妻を攫ってきました。山賊は最初亭主を殺す気はありませんでしたが、女が美しすぎため、体が勝手に亭主を斬っていました。その攫ってきた女でありますが、こいつがとんでもないわがまま女で、家に住まわせていたほかの女房を殺させたりと、様々な要求を山賊にしていきました。そして都が恋しくなった女は、山賊に都へと移り住むように言い、山賊は女とともに都に行きます。

 都へと行った山賊と女でしたが、そこで女は「首遊び」に嵌りました。「首遊び」は、山賊に都に住む様々な人間の首をとってこさせては、その首を使ってロールプレイングするという残酷な遊びのことです。「首遊び」のために毎夜都の人を斬って女に献上してきた山賊でしたが、都暮らしになれないこともあり、山へ戻ることを決めます。しかし女は「首遊び」に嵌りすぎてもう山賊なしでは生きる事はできませんでした。それゆえに女は山に戻る山賊についていき、説得させいずれまた戻ってこようと画策します。

 山賊は女を背負って山に戻ると、桜の森は満開でありました。山賊は山に戻ってきたことが嬉しく、恐れていた桜の森の満開の下に歩きこみます。すると一陣の風が吹き、背中がどんどん冷たくなっていきます。ふと振り返ると女は醜い老婆の鬼に変化していて、山賊の首を絞めてきました。山賊は必死で鬼を振り払い、女の首を締めあげます。

 我に返った山賊は、元に戻った女が桜の花びらにまみれて死んでいるのを見ます。山賊は初めて泣きました。山賊が死んだ女に触れようとすると、女の姿は搔き消えてただの花びらになっていました。そして花びらを掻き分けた山賊の手も消え、後に残るのは冷たい虚空だけでした。

 最近、私がギャルゲーをやっているときに疑問に思うことがあります。それは、多くのシナリオで他者依存を否定しながら、愛を肯定することの矛盾についてです。私は、愛とは最大級の他者依存ではないかと考えています。他者の行動如何によって自分の心まで揺り動かされるわけですから。フラれればそれだけで自己を否定されたように感じ、浮気されたら怒りと悲しみに心が支配されるわけです。だから愛はすべてなんですよ、それ以外同居できない、”自分”を保ちたければ愛を捨てなければいけない、ストリックランドが芸術のために妻を捨てたように、サクラノ詩の直哉が誰ともくっつかずに物語を終えるように。

 さて昔の人々が桜を恐れた理由はそれが美しすぎたからではないでしょうか。美しすぎて心を奪われ自分が自分でなくなってしまうのを恐れた。それは恋や愛と似ていますね。

桜の森の満開の下』でも山賊は美しい女に惚れてしまい、自分を見失います。普段の自分と違う行動を取るところから始まり、自分の女房達を殺し、自分のすべてであった山を捨て都に行き、人をたくさん女のために殺し、そして何かが違うと感じ山へと戻るが、女を殺すと自分も消えてしまう。女を殺すと山賊も消えてしまうのは、山賊に元の自分が残っていないことの暗示ではないんでしょうか、女が消えたから同様に山賊も消えるという。だから私はこの作品から、愛の恐ろしさを感じました。

 ここまで、愛によって元の自分が消えてしまうことの恐ろしさを述べてきましが、私はこの現象をそこまで悪いものであるとは捉えていません。元の自分が消えてもまた新しい自分が生まれます。他者依存でもいいじゃないですか、その人がハッピーならその人の世界ではハッピーです。人間というのは変わっていく生き物ですから、そのときそのとき他者に影響されながら変わっていけばいいと思います。でもそのとき重要なのは、それがおかしい状態であると認識して、どこかで自分を俯瞰しておくことだと思います。女のために他の妻を殺したり、都の人間の首をとってきたりしたらもう戻れませんから。

 というわけで感想はこの辺で締めたいと思います。私は岩波文庫坂口安吾短編集を買って読みましたが、白痴をはじめとして愛の形にも多様な形態があることを教えてくれる良い著作でした。今回の『桜の森の満開の下』ですが短編で1時間もかからず読めますし、今は青空文庫で無料で読めますので、まだ未読の方は読んでみてはいかがでしょうか?