マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【なろう感想シリーズ①】『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』

 唐突ですが、最近ではComicwalkerニコニコ静画に、所謂なろう作品のコミカライズ版が大量に掲載されていますね。

 私も御多分に漏れず、暇なときにそれらを読んだりするのですが、その中で面白くてつい続きが気になったものは、逆に小説版を探して、続きを読んでいたりします。漫画になっているとぱっと理解できるので面白い作品を探しやすくていいですね。

 そんな中で久しぶりに個人的大ヒットの作品を見つけたので感想を書いていこうかと思います。その名も『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』(通称乙モブ)です!

 話はタイトルの通り男に厳しく、女に優しい乙女ゲー世界のモブに主人公【リオン】が転生してしまう所からスタートします。この世界は女性の力がありえないぐらい強く、女性は愛人である獣人男奴隷を引き連れて歩くのがステータスであったり、男がATMであることを公言し、横暴な立ち振る舞いをしたり、挙句の果てには男を無理やり結婚させた後、戦場に送り込んで戦死させ、遺族年金を貰って金儲けしている輩までいます。リオン君はそんな連中から逃げるため、前世のゲームの知識を活かしてチートアイテムである【ルクシオン】を手に入れます。そこからはルクシオンを使って、隠居生活を送るために頑張っていくーーーーはずが、逆にドンドン出世していってしまうというのが、乙モブの話ですね。

 この作品の良かった所は『設定』『緩急』『キャラ』かなと思います。

 まず『設定』についてです。この作品を初めて見る人はタイトルから学園ものでキャッキャうふふするのを想像するじゃないですか?でもこの作品、ガンダムばりにロボットが出てきて大戦するんですよ、タイトル詐欺かな?

 また、人類と新人類とは、どうして世界が乙女ゲームの世界観になってしまったか(女尊男卑が強い)、チートアイテムルクシオンはどういう存在なのかといった謎が、章を追うごとに解き明かされていきます。

 一応この作品、WEB版は完結しており、最後まで読んだのですが、終わりまできちんと考えられて作られていて感動しました。いや普通と言えば普通なのですけれども、なろうの作品は設定は面白いのに、最後がきちんと考えられていないから空中分解するものが多く、この手の作品は珍しいと感じました。

 次に『緩急』についてです。主人公はチート装備を持っていながら、基本的にはそれを積極的に使おうという意志はないため、様々な苦難に立たされます。ただリオンは、口では皮肉や嘘ばかり言うものの非常に優しい性格で、他者が本当に困っている場合は、問題を解決するために容赦なくチートを使っていきます。

 これが爽快なんですよね。問題パートでフラストレーションをためて、解決パートで主人公が敵をぶっとばして解放する―――これが良かった。

 ただ、力を振るって問題を解決するからには、当然様々な軋轢や新たな問題が発生します。この辺が無視されていないのが、この作品の一味違う点ですね。大抵はご都合パワーでその辺りが有耶無耶にされますが、この作品は違います。

 最初リオンが5人の王子たちを決闘でボコボコにして散々煽った際に、ルクシオンからブーメランですね的なことを言われてたのも印象的でした。章を追うごとにその色は強くなって、最終章は本当に救われない戦いでしたが、だからこそ最後のシーンの納得感が増しました。ありがちな展開ではありますけど、ちょっと泣きました。

 最後に『キャラ』についてです。これはラノベだと一番重要な要素だと思います。この作品では、出て来るキャラ全員魅力的でした。特に悪役達が光っていましたね。

 本当に出てくる悪役達はうっぜええええええええんですよ。最初のゾラは10代のリオンを50代のおばさんに嫁がせたのち、戦場で殺し、遺族年金を掠め取ろうとたくらむ正真正銘の屑だし、学校の女生徒は奴隷を愛人として連れまわし、主人公たち弱小貴族を馬鹿にし貶し、金を搾り取ろうとするし、5人の王子は一人の悪女に目がくらんでヒロインを潰そうとします。公国の人間は自分のことしか考えないし、共和国の人間達は一言クソでした。

 どいつもこいつもうざすぎるからこそ、ヒロインであるアンジェとリビアがマジモンの天使に見えてくるし、リオンが悪役達をボコボコにするのを見ると、爽快感が半端なかったです。

 また相棒枠のルクシオンも忘れてはいけません。ルクシオンがいい感じにリオンのイキりにツッコんでくれるから、うまくコメディとして成り立っている部分も多かったと思います。また、リオンとルクシオンのやり取りはどれも面白く、物語に彩りを添えていましたね。

 それ以外も印象的なキャラが多かったです。マリエは当初悪役キャラで、本当にこいつどうしようもない糞だなと思っていたのですが、章を追うごとに段々となんか憎めなくなってきて、最後は凄い好きになってました。王子たちも一緒ですね。段々改心というか成長していって、憎めなくなりました。最後の章での彼らの活躍は、お約束ながら感動しましたね。

 そのほかもリオンの悪友’s、王妃さま、馬鹿王、リオン姉など魅力的なキャラが多く、本当に読んでいて飽きませんでした。

  『設定』『緩急』『キャラ』、考えてみればラノベに必要な要素ってこれですよね。これら3つが揃っていた『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』は本当に良い作品でした。

 どうやら書籍版は少し変更箇所があるようなので、ちょっとしたら書籍版も買って読もうかな?GCノベルもうちょい安くならないかな・・・

乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 1 (GCノベルズ)
 

  今回はそんな感じで終わりにしたいと思います。ではでは!