マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【失われた青春をもう一度】喫茶ステラと死神の蝶 ナツメ√感想

 クリスマス、だからかもしれませんが、なんで私はいい歳になってもまだギャルゲをやってるのか、ギャルゲに何を求めているのかということを、ふと考えてしまいました。

 エロが見たいだけなら画像は大量にネットに落ちているし、エロにストーリー性を求めるなら同人とかでもいいわけですよね。それで気づいたんですよ、私は自分が体験することができなかった普通の「青春」を追い求めてたんじゃないかって。

  何が言いたいかと言いますと・・・

 キャラゲーの老舗、ゆずソフト最新作『喫茶ステラと死神の蝶』ナツメ√が、まさに青春の一ページを追体験させてくれる、非常に素晴らしいルートでした。今までのゆず作品の中でも1,2を争う良さだったかもしれません。

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  何故そんなによく感じられたかは、主人公に死ぬほど感情移入できたことが大きいです。

 ゆずソフト作品にしては珍しい大学生の主人公で、彼は等身大の陰の者です。最低限の社交性を持っているけど、人と深く関わることを恐れている。一方で人と深く関わることにひどく憧れを持っている。街で知り合いを見かけても気づかれないようにスッとフェードアウトするとか、ろくに努力もしてないのに彼女を欲しがるとか、わかる、めっちゃわかるわってずっと言ってました。陰キャはめんどくさい生き物です。

 物語のはじめで彼と彼の友人が学食でたわいもない話をするんですが、その一つ一つが身に覚えがありすぎて、読んでて共感しかありませんでした。明確な将来のビジョンはないけど就職できるのかとか、普通に就職して結婚して子供を育てて暖かい家庭を築きたいという話に対して、それも最近は高望みだよなぁとか、そもそも恋人作れるのかなぁとか、私も大学生の時同じような話をしたなぁと。

 あと、この主人公クソ童貞くさいところもよいですね。バイト先で一緒になった女の子と教室であっても、思わずちょっと離れた先に着こうとするとか、女の子の名前を呼ぼうとするとドモるとか、初エッチのときにいきなりパンツを脱がせようとするところとか。冷静にキモいんですが、だからこそ、めっちゃこの主人公の行動が理解できてしまう。

 

 四季ナツメというキャラについて語りましょう。彼女は陰キャが想像する最高に可愛い現実の女の子を具現化した存在です。二次元創作物でよく出現するコテコテの可愛いキャラは可愛いですけど現実には絶対いないでしょう。知的無垢などその最たるものです(めっちゃ可愛いけど、その人格が構成されるまでのストーリーが全く見えない)。四季ナツメは、美人だけど、事情から陰キャで、うぶで、でも話してみたら気さくで、一緒にいたら楽しいタイプの女性です。このキャラが構成されるまでのストーリーが想像できるし、しっくりきた、より現実的な女性だった。だからこそ、よりストーリーに感情移入しやすかった。

 

 ナツメ√は主人公とナツメの変化の話でした。彼等は両方陰キャで、足を前に踏み出してもいないのに、最初から勝手に決めつけて諦めてる。この作品で言えば魂が弱った状態です。

 そんな主人公も劇中、事故にあったことで、変わらざるを得なくなります。陰キャは何かしら理由をつけて変化から逃げがちですが、逃げると死ぬわけですから変わらざるを得ない。物語最序盤の選択肢が印象的です。

f:id:saijunior2002:20191224232410j:plain断ると死ぬ

 主人公が変わったことで、ナツメも変わります。喫茶ステラを盛り上げるために、主人公なりに一生懸命努力し、それを見てナツメも自分にできることを見つけていきます。

 そんな中、ナツメが主人公と交流を持つのは酷く当たり前のことでしょう。そして、お酒を飲みに行ったりしながら付き合いを深め、惹かれあっていくの至極当たり前のことだと思えました。兎に角ストーリーが「自然」でした

 1個1個は小さなシーンだけど、その積み重ねに意味があって、だからこそ、初めてお酒を飲みに行ったときに子供っぽくなるナツメが本当に可愛く見えたし、初日の出を一緒に見た時にふと唇が気になってキスをしてしまうシーンでは死ぬほど悶えました。「自然」だからシナリオをスッと受け入れられたし、自分が体験しえなかった「青春」をシナリオを通して受け入れることができました

 そして、完全に没入した状態で見るナツメが只管に可愛いんですね。恥ずかしくなってぐぬぅ~する顔とか、ちょっと親しげにばーかっていってくるところとか、酔ったら可愛くなるところとか、大人っぽく見えるのに実は子供っぽいところとか、仲良くなってから積極的なところとかとかとか・・・本当に可愛いかった。可愛くて可愛くて可愛くて、もうナツメしか目に入らないっていうぐらい、ガチ恋でした。

・・・まあすぐに次のルートやるんですが。

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恒例のお気に入りボイス、罵倒が心地良い

 

 最初から最後までナツメ√は悪い所がありませんでした。良い、良い、良いと積み重ねて、最後に幸せな未来を夢見てエンディングと、これ否のつけどころありますか?いやない。

 ・・・と思って批評空間チラッと見に行ったら、あんまり評判よくないのでびっくりしました。やはりキャラゲーは相性なのか。

 

 ただ、私はプレイしてすごい幸せな気持ちになれたので、星5つです。いつも最高のギャルゲーを提供してくれるゆずソフトに最大限の感謝を。