マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

【良質なエンタメ作品】『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』感想

 突然ですが、私はラブコメが好きです。さらに言えば、私は数あるヒロイン属性の中で一番好きなのが『幼馴染』です。でも大抵幼馴染が負けるので、負けないルートもあるギャルゲーを好んでやっています。そんな私が今回読んだ作品は、

 『幼なじみが絶対に負けないラブコメです。

 幼馴染が絶対負けないってタイトル凄いですね。これだけで読もうって気になりました。

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

 

 まさかヒロイン全員幼馴染とは、恐れいったぜ・・・。ここから2巻も順調に幼馴染が増えていって幼馴染パンデミックが起きていますが、3巻以降も増えていくんでしょうか、恐ろしい作品に出会っちまったな。

 純正幼馴染はクロちゃんなのでこの子がメインヒロインぽいですけど、1巻終了時点で雲行き怪しくなりましたね。なんだこの展開、全員が全員から回って誰もうまくいってないの面白すぎです。こんなラブコメ初めて読みました。なんていうか、予想外です。

 

 さて、お話の感想行きましょう。

 まずこの作品は、疾走感が凄いですね。作者様があとがきで書かれている通り、『過剰な青春』というのが遺憾なく表現されていると思います。クラス内で可愛い幼馴染と仲良くしていると、クラスの男子達によってたかって袋にされそうになるとか、主人公の親友枠のキャラがクズなんだけど開き直っていて逆に憎めないところとか、ヒロインの情緒が不安定な所とか、主人公が馬鹿ですぐ土下座で解決しようとするところとか、全部物語としては過剰な表現なんだけど、理屈じゃなくて感情で動く学生らしさみたいなのが感じられて、私は好きでした。多分この作風を全く受け入れられない人っていうのも一定数いるんじゃないかなと思います。とにかく一言で言えば「馬鹿な物語」ですね。物語の雰囲気は『バカテス』に近いと思います。一昔前のギャルゲーの共通パートとかもこんな感じだったかな?。

 またこのラブコメただのラブコメじゃないんですね。普通のラブコメって、ある空間で主人公とヒロイン達が出会って、色んな障害を乗り越えて徐々に距離を縮めていって、最後に一人を選んでくっつく(ハーレムエンドもなくはない)といった話になると思います。ただ『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は一味も二味も違うんですよね。最初から幼馴染である黒羽は主人公に振られているから、最初からゼロ距離です。本来だったらここで話が終わってしまうんですが、本作はここから物語がはじまります。一度振られただけじゃ、終わらない。振られた痛みを、初恋が成就しなかった辛さを振った相手にも分からせて、そこからリスタートだと。

 普通のラブコメだったら主人公が鈍感で、なんでヒロインの好意に気づかないんだよ・・・って思うときもありますが、この作品については100%主人公に共感できましたね。いやこれは勘違いするし、躊躇うでしょっていう。だから、主人公とクロとシロの3人が空回ってる様が真に迫って、非常に面白いんです。本当にこいつらうまくいかねーなって呟きながら笑ってました。最後の『ヤダ』は大爆笑でしたね、普通ここ読んでて落ち込むシーンですよ?まさにこの作品がラブ”コメディ”だと言うことを象徴するシーンだと思います。

 『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は、一味違うラブコメと、ジェットコースターに乗ってるような怒涛の会話展開で楽しめる、とても良いエンタメ作品でした。このラノ新作2位の実力は伊達じゃないですね。最近色々読みましたけど、やっぱり電撃文庫ラノベ界でも一味違うなって再確認しました。1位の『七つの魔剣が支配する』も別格に面白かったですし、今度気合が入った時にでも感想を書いていきたいですね。

 ではでは。