マダツボミの観察日誌

ギャルゲーマーによる、ギャルゲーやラノベの感想、備忘録とか

ぬきたし1感想

 今回は発売してから大分時間は経ちましたが、2も発売したということでプレイしました――――

 『抜きゲーみたいな島に住んでいる貧乳はどうすりゃいいですか?』通称”ぬきたし”の感想を書いてきます。

やたらスタイリッシュなセカンドタイトル画面

 あらすじ!ぬきたしはドスケベセックスをすることが義務付けられるという条例が敷かれた島で、性行為をすることに様々な理由で忌避感を覚える少年少女が条例打倒のために奮闘するといったお話です。これ文字に起こすと最高に意味不明ですね

 プレイ始めてすぐは、島の人間のセックスの際の意味不明なのに語呂とノリが良すぎる台詞回しにゲラゲラ笑っていましたが、中盤ぐらいになるとこの言動にも慣れてきて、無表情でマウスをクリックしてました。あーこうやって主人公たちは島に適応していくんだなあって感慨深くなりましたね。

 あと適応してしまったという話続きで、最初は朝目が覚めた時にBGMであえぎ声が流れていた時点で笑ってたのに、中盤ぐらいでは気にならなくなって、グランドの最後には朝のあえぎ声で少し感動すらしてましたからね。慣れって怖い。

 さて、個別ルートに入ると序盤のねじがぶっとんだ文章は鳴りをひそめ、少年漫画的なバトル物に代わっていきます。ああ、岬ルートは最後までネジとんでましたね。バトルシーンは戦力差が大きすぎて、正直微妙なところも多かったですが、奈々瀬ルート最後のvs会長戦とかヒナミルートのvs県長とかは好きでした。ただ、岬ルートは完全にギャグマンガ時空でしたし、文乃ルートは異能力バトルみたいになってて、ちょっと頭が話を受け付けてくれなかったです(アペイリアもよく考えれば同じようなことやっていたのにどこで差が生まれた?) 。最初から他の意味でぶっ飛んでたからこれはこれでよかったのかな?

 はじめ、この設定で純愛モノにしたのはミスマッチだなと感じてましたが、最後までプレイしてみれば逆に自分が先入観にとらわれていただけで、この二つはマッチしているなと納得させられました。

 一見(?)頭のおかしいやりとりをする町の住民達を見て主人公達に共感するわけですが、ストーリーを進める中でSSの過去を垣間見せられたり、グランドでの弾圧シーンを見せられたりすると揺れるわけです、価値観が。正直この設定で価値観を揺さぶるようなシナリオを描いたライターは天才だと思います。自分自身に驚きがあります。

 

 

 前置きが長くなりましたが、個別ルート感想行きます。

 

 

奈々瀬ルート

 これ最初にやっといて正解でした。このルートが一番よいと思ってたけど、グランド終わった今このルートを思い返すとかなりバッドエンドに近い何かだったかもと思ってしまいます。いや犠牲は付き物なのか。

 奈々瀬ルートは、自分の本当に大事なところは自分の本当に知ってほしい人にだけ知ってもらえばいいvs自分のことは全員に知ってほしい人という構図だったわけですが、皆さんはどうでしょう。

 私はどちらかと言えば自分のことはできれば全員に知ってほしい側なんですかね、こんなブログを書くぐらいですから。主人公君には子供みたいなこと言うなって怒られちゃいましたけど、とーか様の言ってることはよくわかります。

 このルートを読むとセックスってなんだって考えさせ直されますね。会話をはじめと下コミュニケーション手段の一つで気軽にやるものだと言われれば、確かに一理あるな?って気もします。この話が狂ってるなって思っている私たちもドスケベ支持者にとっては狂っているようにみえるのかもしれません。ただなんにせよ強制はいけませんよね、思想の違いを受け入れて住み分けしていかないとその辺りを全部無視して自分の主張を押し通したのが奈々瀬ルートということで、まあこのルートはわかりやすく悪役ですね。

 このルートは主人公のトラウマと行動原理がうまく表現されていてよかったです。ただ童貞名乗ってる癖にやりまくりなのはこのゲームの主張としてどうなんだ・・・?っていう気持ちはありました。エロゲ―ですししょうがないんですかね。

ヒナミルート

 これは普通によかったルート。割とハッピーだったんじゃないでしょうか。もし主人公がSSと共闘したらどうなるルートということで、手嶋君が完全にかませだったのが今思い出すとわらけてきますね

 このルートはヒナミちゃんよりも礼先輩が可愛すぎた。というか今からでも礼ルートに作り替えてほしいぐらい。淳之介ぇ・・・お前非処女本当は嫌いじゃないんだろう?お願いだよ・・・。

 本当に礼先輩は救いがなくて、そんな中ドスケベ条例に歯向かう反交尾戦力は確かに絶対に許せない存在でしょう。でも全部ヒナミママが受け入れてくれる。ちっちゃい体に全力の母性を備えて。

岬ルート

 天の光はすべて岬だろうよ・・・ by 淳之介

 正真正銘、頭がおかしいルート。これ書いたライターは一度病院に行った方がいいと思う。主人公の巨根を思う存分使ったらどうなるのか?っていうコンセプトですが、不特定多数とのセックスを肯定するために、AR拡張で見える人間全員を愛してる岬にするっていう発想がマジで狂ってるし、その戦闘スタイルもイカレてました。

 完全にギャグ時空なわけなんですが、ちょこちょこシリアス挟んでくるからどこに気持ちを持っていけばいいか全くわからないルートでした。まるでレールなしジェットコスタ―に乗っていた気分です(そんなんないけど)。多分面白い人は死ぬほど面白いと思いますが、

 私はこれはイキスギかな?と思いましたまる。

 いまいちイクコちゃんに共感できなかったというのもこういう感想になった一因かも?

グランド(文乃)ルート

 文乃ちゃんかわあいいなああああああああああああ

 これまでNLNSを支援してきた爺ちゃんの正体が分かるルート。糞ジジイすぎる。文乃をこんなにボロボロにしてただではおかんぞぉぉ淳之介やれ!!って画面の前で叫んでました。ちゃんと老若男女平等パンチを決めてくれて私は満足です

 文乃ルートは、これまでできなかった共存を図るルートで、文乃とくっついた奈々瀬ルートのその先という感じです

 今まで敵だったキャラたちが最後駆けつけてくる展開は少年漫画の王道という感じでクサいけど正直好きでしたね。”体はチンポでできている”は只管困惑していましたが、確かにこれくらいやらないと勝てないからまあいいか

 バトルの超展開はおいておいて、グランドはなかなか考えさせられるテーマ性を持っていました。私たちの道徳感というものも結局は一番最初に誰かが作ったのですから、それを盾に理解できないものを排除するというのはナンセンスだと再度考えさせ直させられるのです。

 ドスケベ条例は日本人の多くが理解不能な概念だと思います。恐らくそんな深くはライターも考えてないでしょうが、『ぬきたし』はういう全く理解できない存在と出会った時の私たちの在り方を説いている作品だったともとれます。象徴的な存在としてのドスケベ条例であり、そこに住まう人々の在り方だったんですね。

 最初にも書きましたが、このふざけた設定でここまで考えさせられるような作品となっているのは素直に凄いと思います。LGBTなんかは言い方悪いですけど「流行っている」ので認知が広がっていますが、他の性的マイノリティーっていうのは依然黙殺されたままだと思います。そういう所にメスを入れつつ、うまくエンタメに落とし込んでいるのが文乃ルートで、ここまでの集大成として申し分ないものになっていたと思います。

 

おわりに

 というわけで、プレイする前に感じていた感想とプレイ後に感じた感想にかなり差がありましたが、それも含めて面白かったです。プレイを始めた当初はこんな真面目な感想を書くつもりは全くなかったのにどうしてこうなった???

 とにかく勢いがある作品でしたね。多少の違和感も勢いでぶっとばしてくれるような良作だったと思います(でも岬ルートはやっぱ流石に困惑したぞ!)。

 2も出るということで(この感想実は一年前に書いたものでお蔵入りしてたのを引っ張り出してきた)、これもまた楽しみにしています。ではでは~